中国の新型ステルス対艦ミサイルYJ-18Cがもたらす脅威
2025年9月3日、中国・北京で行われた軍事パレードに登場したYJ-18C艦載巡航ミサイル(鷹撃18C型)は、外観から明らかにアメリカのNSM(Naval Strike Missile)を模倣したステルス型対艦ミサイルである。その能力は日本の12式SSM能力向上型を超える様子もあり、海上自衛隊の護衛艦にとって深刻な脅威となっている。
軍事ライターの文谷数重氏によれば、結論から言えば、中国軍艦と同様に迎撃は難しい。最新護衛艦でもステルス型の迎撃はほぼ不可能だからだ。となると、YJ-18C対策は今後の護衛艦整備における優先課題となる。それを進めなければ、日本護衛艦は一方的に沈められる結果となるだろう。
なぜ軍艦は極超音速ミサイルよりもステルス型を恐れるのか
一般的に、軍艦が最も恐れるミサイルは極超音速ミサイルとされる。マッハ5から8、時速約6100キロメートルから9800キロメートルで飛ぶこのミサイルは、「速いこと」を「高性能」であり「強力」と見なす素朴な発想から「最大の脅威」と考えられている。軍事専門家の一部もそう考えている。「対艦ミサイルは速ければ速いほど迎撃困難である」「迎撃は間に合わない」との思考からだ。
しかし、実際は異なっている。今の軍艦が恐れるのは高速ミサイルではないからだ。極超音速ミサイルの迎撃はそれほど難しくない。イージスなどの全自動迎撃システムからすれば、むしろくみしやすい相手だ。
まず、極超音速ミサイルは見えやすく、かつわかりやすい。20キロメートル以上もの高さを飛んでくるため、500キロメートルを超える距離からでもレーダーで探知できる。そして、非常識な高度や速度からひと目でミサイルとわかる。システムが「攻撃禁止の民間機ではないか」と悩む余地はない。
迎撃も簡単だ。軍艦に向けてまっすぐ飛んでくるからだ。軍艦からすれば、見た目では空の一点から動かない。迎撃ミサイルもその方向に飛び、目標を真正面に捉え続ければいずれ命中する。
そして、その「極超音速」も最後までは維持できない。極超音速は大気が希薄な高高度でなければ維持できない。最後には軍艦を狙って降下するが、その時には濃密な低空大気で生じる抵抗で急減速する。「最後の100秒間でマッハ3に低下する」との研究もある。軍艦側からすれば、見た目ほどには危険なミサイルではないのだ。
NSM系ミサイルの実力:レーダーで把握できない脅威
対艦ミサイルのステルス化が始まった。アメリカ海軍は最初の実用型ステルス型ミサイルである「NSM」(Naval Strike Missile)の導入を始めた。比較的低速ではあるものの、迎撃はほぼ不可能なミサイルである。NSMはシー・スキミング(超低空飛行)能力を持ち、レーダーに映りにくい形状と素材を採用している。さらに、赤外線画像シーカーを搭載し、目標の熱画像を基に識別・追尾するため、従来の電波妨害(ジャミング)も通用しない。
日本もNSMのコンセプトを模倣した国産新型の「12式SSM能力向上型」の導入を始めた。このミサイルは中国軍艦に対する切り札となると考えられている。しかし、仮想敵国である中国もまた、NSMと同等品の導入を始めた。「鷹撃18C型」、通称YJ-18Cである。その外観からすれば、やはりNSMを模倣した対艦ミサイルである。その能力は日本の12式能力向上型を超える様子もある。
NSMを打ち落とせる護衛艦はあるか
果たして、海上自衛隊の護衛艦はこのYJ-18Cを迎撃できるのだろうか。文谷氏は、中国軍艦と同様に迎撃は難しいと指摘する。最新護衛艦でもステルス型の迎撃はほぼ不可能だからだ。日本が現在保有するイージス艦や最新の「もがみ型」護衛艦でさえ、低空をステルス飛行するミサイルを探知し、追尾し、迎撃するのは極めて困難である。対策として、より高性能なレーダーや、赤外線センサー、高エネルギーレーザーなどの新技術の開発が急務となる。



