「日本」の始まりの地が世界の宝として認められた――。韓国・釜山で26日に開かれた国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会で、「飛鳥・藤原の宮都」(奈良県橿原市、桜井市、明日香村)の世界文化遺産登録が決まった。会場やパブリックビューイング(PV)で審議を見守った関係者や住民は、奈良県で4件目となる世界遺産の誕生に沸き立った。
「飛鳥・藤原」の世界遺産登録
釜山の世界遺産委員会の会場で、登録決定を告げる木づちが鳴らされると、日本の代表団席で山下真・奈良県知事が顔をほころばせ、関係者と握手を交わした。
山下知事は「奈良にとって非常に誇らしい瞬間。遺産を守り、その価値を世界に伝え、次世代へ受け継ぐことを約束する」と英語でスピーチ。他国の代表団も駆け寄り、祝意を伝えた。
「飛鳥・藤原」は2007年に世界遺産候補の暫定リストに入ったが、構成資産に文化財保護法に基づく史跡指定がされていない区域が多く、足踏みが続いた。地道に指定範囲を広げ、国内推薦候補に決まったのは24年。その後、万葉集に詠まれた大和三山を構成資産から外し、古代国家形成に直接関わる遺跡に絞った上で、昨年1月に推薦していた。
報道陣の取材に山下知事は「20年近い努力が実り、うれしく思うが、史跡指定や整備が完了したわけではない」と述べ、構成資産の史跡指定や保全整備を進めるとともに、案内の多言語化や観光公害対策にも取り組む意向を示した。
地元の歓喜と今後の課題
奈良県内では、地元の計6か所に世界遺産委員会のPV会場が設置され、関係者や住民ら計約1000人が審議を見守った。メイン会場の県橿原文化会館(橿原市)には、3市村長ら約350人が集結。登録が決まった瞬間には歓声が上がり、万歳三唱やくす玉割りなどで喜びを分かち合った。ほとんどの構成資産の発掘調査に関わってきた木下正史・東京学芸大名誉教授は「遺跡の値打ちが世界に認められ、感慨ひとしお」と目を細めた。
PVに参加した大阪府枚方市の高校1年生(15)は「世界遺産登録までにかかった時間や労力が実る瞬間を見られて感動した。SNSを通じた発信などで若い世代や知らない人にも魅力を伝えてほしい」と期待した。
世界遺産登録を受け、奈良県選出の高市首相は「長年、尽力してきた関係者に心からのお祝いと深い敬意を表する。貴重な文化遺産を守り、次世代へ引き継いでいく決意を新たにした。多くの方々に現地を訪れてもらい、価値と魅力に触れてもらえることを期待する」とのコメントを出した。



