イエメンの反政府勢力フーシ派は20日、サウジアラビアに対する海上封鎖を宣言した。この動きにより、世界最大級の石油輸出国であるサウジアラビアの原油輸出ルートが脅かされ、米国とイランの間で緊迫する紛争がさらに複雑化する可能性がある。
封鎖宣言の背景と詳細
フーシ派は封鎖の具体的な範囲や方法について明らかにしていないが、軍事報道官のヤヒヤ・サレー氏は「目には目を」の原則に基づき、「犯罪者であるサウジに対する海上通商禁止を直ちに発効する」と宣言した。この発表は、イランが米国との「全面戦争」に戻ったと述べ、両国がホルムズ海峡の制御権をめぐって衝突する中で行われた。
サウジアラビア外務省は直ちにフーシ派による海上封鎖を非難し、イエメンのアデンに拠点を置く暫定政権への支援を改めて表明した。先週には、サウジアラビアとフーシ派の間で数年ぶりとなる衝突が発生し、2022年以降維持されてきた停戦状態が脅かされている。
原油ルートへの影響
フーシ派による海上封鎖が実施されれば、サウジアラビアの石油輸出にとって重要な2つのルートが同時に脅かされることになる。一つはホルムズ海峡で、すでに米イラン間の戦闘激化により航行が制限されている。もう一つは紅海であり、フーシ派の封鎖によってアクセスが断たれる可能性がある。
サウジアラビアは日量1000万バレル以上の原油を生産しており、世界市場への影響は計り知れない。キングス・カレッジ・ロンドンで安全保障を専門に研究するアンドレアス・クリーグ氏は、この封鎖が「サウジアラビアに極めて深刻な打撃を与えるだろう」と指摘する。同氏は、サウジアラビアの石油の多くがアジア市場に販売されていると述べ、インド洋と紅海を結ぶ要衝バブ・エル・マンデブ海峡が閉鎖されれば、「それらの船舶はアジアに到達するために、わざわざ北上してスエズ運河から地中海、ジブラルタル海峡を抜け、アフリカ大陸を大回りしなければならなくなる」と説明した。
地政学的な緊張と今後の見通し
フーシ派はイランの支援を受けており、今回の封鎖宣言は米イラン間の緊張をさらに高める要因となっている。イランは米国との「全面戦争」を宣言したとされ、両国はホルムズ海峡の制御権をめぐって直接衝突している。このような状況下で、フーシ派の動きはサウジアラビアに対する圧力を強めると同時に、中東全体の安定を脅かすものとなっている。
サウジアラビアとフーシ派の間では先週、数年ぶりの衝突が発生し、2022年以降維持されてきた停戦合意が期限切れとなった後も続いてきた休戦状態が崩壊する恐れが出ている。今回の海上封鎖宣言は、両者の対立がさらに深刻化することを示唆している。
世界の石油市場は、ホルムズ海峡と紅海の両方で航行制限が生じる可能性に直面しており、サウジアラビアの原油輸出に依存する多くの国々にとって、供給不安が高まっている。専門家は、この状況が長期化すれば、原油価格の高騰や世界的な経済混乱を引き起こす可能性があると警告している。



