世界有数のマグロ消費国である日本は、国際的な資源管理で重い責務を負っている。関係国の合意に向け、粘り強く話し合いを続けてほしい。
太平洋でとれるクロマグロの資源管理を話し合う会議で日本は大型魚の漁獲枠を増やす案を出したが合意できなかった。会議最終盤でメキシコが突如反対した。自国の漁獲枠を増やすことにこだわったためとみられる。
残念な結果と交渉の行方
クロマグロは、高級なすしネタや刺し身として消費者の人気が高い。漁獲量が増えれば、より手頃な値段で食べられたはずだ。日本の漁業関係者の期待も大きかっただけに、残念な結果である。
年内に関連会議も控えているが、そこで合意ができなければ、来年も現行の漁獲枠が維持される見通しだ。メキシコの真意をなぜ土壇場までつかめなかったのか。政府は交渉戦略を立て直し、打開策を見いだしてもらいたい。
規制の経緯と日本の提案
乱獲によって資源量が激減したクロマグロの漁獲規制は、日本が主導して2015年から始まった。資源量は10年に過去最低の1・2万トンに落ち込んでいたが、規制が奏功し、22年には過去最高の14・4万トンにまで回復した。
これを受けた今回の日本提案は妥当な内容だったと言える。日本は、漁獲枠の大半を占める中西部太平洋で、30キロ・グラム以上の大型魚を25%増の1万4836トンに増やす一方、小型魚は6%減らす案で合意を目指した。
漁業現場の声と今後の課題
小型魚は将来の資源量を左右する。米国が近海に来遊する小型魚が減少しているなどと主張したため、その見解に配慮した調整案として練り上げた内容だった。
また、資源量が回復した結果、日本各地の漁場からは「マグロがとれすぎて困る」という悲鳴が上がっている。沖合の定置網に多くのマグロがかかり、決められた漁獲枠を守るために放流すると、他の魚が逃げてしまうためだ。
資源に回復が見られるなら、漁業関係者の経済的な損失や負担の重さも考慮すべきものだろう。
国際的な資源管理の成功例へ
国際的な資源管理は、ウナギやサンマなどでも行っているが、各国の利害が対立して、うまくいっていない事例が多い。その中で、クロマグロは成功例として位置づけられてきた。
水産大国である日本は他国からの信頼を得て、幅広い魚種の漁獲規制を進めていこうとしている。科学的な知見に基づき、各国の利害にも丁寧に耳を傾けながら、クロマグロの新たな資源管理策をまとめることが大切だ。



