米南部フロリダ州のパームビーチ国際空港が9日、ドナルド・トランプ大統領にちなみ「ドナルド・J・トランプ大統領国際空港」に名称変更された。国立のランドマークから紙幣に至るまで、あらゆる場所にトランプ氏の名前と肖像を掲げようとする動きが加速している。
トランプ家が祝福、空港コードも「DJT」に
トランプ氏の次男エリック氏が、「1番機」となった一族の企業が所有する自家用ジェット「トランプ・フォース・ワン」で到着し、名称変更を祝った。共和党が多数派のフロリダ州議会で名称変更に関する法案が2月に可決され、3月に共和党のロン・デサンティス知事が署名して成立した。
エリック氏はFOXニュースに対し、笑みを浮かべながら「素晴らしい日だ」「ドナルド・トランプほどパームビーチ、あるいはフロリダ州全体を象徴する人物は他にいないと思う」と述べた。また、同空港とトランプ氏の私邸「マールアラーゴ」を結ぶ道路の一部区間がすでに「ドナルド・J・トランプ大統領大通り」に改称されていることを指摘。空港コードも「PBI」から「DJT」に変更された。エリック氏は、パームビーチへ飛ぶすべての利用者のチケットには「永久に『DJT』の文字が表示されることになる」と強調した。
利用客の反応は賛否両論
9日の空港利用客の間では、名称変更について意見が分かれた。コーポレートパイロットのクリス・ベイリーさんは改称を歓迎し、トランプ氏は「空港名となるのに足る功績を確かに残している」と語った。一方、医師のジョン・マノフさんは「『パームビーチ』の方がブランドとして優れている。人々はドナルド・トランプがあまり好きではない」「悪趣味に思える」と不満を示した。
紙幣、橋、政府施設…「トランプ」ブランドが急速拡大
存命の人物、特に現職大統領を通貨や建造物で顕彰するのを避けてきた米国の長年の伝統を破り、トランプ氏の名前と肖像は急速に拡散している。スコット・ベセント財務長官をはじめとする高官らは9日、テネシー州に新設された「ドナルド・J・トランプ橋」をお披露目。ベセント氏は「テネシー州のナンバープレートには以前『テネシー州までついてきて』という標語が掲げられていた」「今や、そうした車に続く人々は全員、州間高速道路40号線上のドナルド・J・トランプ橋を渡ることになる」と述べた。
首都ワシントンにはすでに「ドナルド・J・トランプ米国平和研究所」に改称された施設が存在するほか、主要政府機関の建物には同氏の顔を描いた巨大なポスターが掲げられている。トランプ氏の名前はワシントンの総合文化施設ケネディ・センターにも一時付与されたが、裁判官に手続きに問題があると判断され、トランプ氏の名前を削除するよう命じられた。
パスポート、国立公園パス、海軍艦艇にもトランプ色
さらに、ビザ(査証)、医療などの政府公式プログラムにも「トランプ」ブランドが冠されている。トランプ氏の肖像は米国のパスポートの一部に掲載される予定で、国立公園の年間パスにはすでに掲載されている。また、海軍艦艇における新たな階級区分として「トランプ級」の創設も発表された。さらに財務省によると、新たな試みとして、米ドル紙幣にトランプ氏の署名が記載される予定だ。
個人崇拝との批判にエリック氏は反論
反対派は、こうした「トランプ」ブランドの拡大を、独裁国家や権威主義国家でよくみられる個人崇拝になぞらえている。だが、エリック氏は空港の改称に何ら問題はないとして、「私たちの名前(トランプ)を冠するものは何であれ、多少の物議を醸すものだ」と語った。フロリダ州の空港に自身の名前が付けられたことについてトランプ氏がどう感じているかを問われると、エリック氏は「光栄に思い」「謙虚に受け止めている」と答えた。



