米国で働いていると、思わぬところで中国語由来の言葉に出くわすことがある。先日、米国人の同僚とトランプ大統領の与党・共和党の議員がトランプ政権の方針に異議を申し立てている話になったときもそうだった。
11月の中間選挙を目前に控え、政権支持率が低迷するトランプ氏に反旗を翻す形で複数の共和党議員が対イラン軍事作戦を批判している。バンス副大統領が演説した集会を欠席した地元議員もいる。ところがトランプ氏は表向き、こうした共和党議員に腹を立てることなく「素晴らしい議員だ」と称賛するケースまである。
「百の花を咲かせている」という表現
なぜだろうかと話が進むうちに米国人の同僚が「トランプは百の花を咲かせているのかもね(Maybe, Trump is letting a hundred flowers bloom)」と語ったが、意味がよく分からない。「百の花ってどういう意味?」と聞くと、「ほら、毛沢東の時代に中国であったでしょ」と返ってきた。そこでようやく合点がいった。「百の花を咲かせる」とは「百花斉放」のことだ。
1950年代、中国の毛沢東主席は「百花斉放、百家争鳴」をスローガンに自由な議論を促し、毛沢東に対する批判も許した。ところが、しばらくすると毛沢東は「反右派闘争」を開始し、自身を批判した政治家や知識人を次々と処罰することになる。トランプ氏が共和党議員の批判を黙認しているように見えるのは、「裏切り者」の存在をあぶりだし、後で手ひどく攻撃するためではないか。米国人の同僚との会話は、そういう話に落ち着いた。
習近平氏歓迎の辞に登場した「ガンホー」
中国語がもとになった言葉は他にもある。トランプ氏が9月24日に中国の習近平国家主席を迎えた際には、こんなあいさつをした。「米海兵隊と中国人との出会いが、海兵隊に中国語のフレーズを採り入れるきっかけとなりました。ガンホー(gung ho)という言葉です」