秋篠宮ご夫妻は、日本人の移住90年にあたり、18~26日の日程でパラグアイを訪問する。現地時間の22日には、ラ・コルメナ市で、農村部の女性たちが働く観光情報センター「IKOI(憩い)」を訪れる。
都市と農村の格差、女性の自立支援
パラグアイは都市と農村の格差が大きく、女性の社会進出や経済的な自立が課題となっている。日本からは横浜国立大学が中心となって調理技術や販売のノウハウなどを伝える支援を続けており、ご夫妻も関心を寄せてきた。
IKOIは2024年9月に市役所前に開設され、街の案内のほか、伝統食のチーズパンやソパ、地元の果物を使ったジャムやジュース、巻きずし、あんぱんなどを販売する。横浜国大が25年までの約10年間、国際協力機構(JICA)の草の根技術協力事業として、現地の農村で展開した「農村女性生活改善プロジェクト」と「アグリツーリズムプロジェクト」の集大成として設置された。
プロジェクトの歩みと女性たちの変化
プロジェクトを仕切った同大の藤掛洋子教授(パラグアイ地域研究)は、1993年にJICA青年海外協力隊員として現地の農村をめぐり、現地政府の職員たちと女性の所得創出の工夫をこらした。野菜の調理方法や栄養指導などを通じて会話を重ねるうちに、女性たちが自信をつけ、性格や意識も変わっていく姿を目にしたという。
藤掛さんは帰国後も現地の女性たちを支援しようと、NGOミタイ基金(2014年よりNPO法人ミタイ・ミタクニャイ子ども基金)を立ち上げ、その後も研究と実践のためにほぼ毎年現地に足を運んだ。プロジェクトではラ・コルメナ市などを中心に、女性たちに調理技術に加え、衛生管理や原価管理といった販売に向けた実践的なノウハウも同大やパラグアイの大学の教授陣と連携して指導。のべ約1万人の女性が参加し、自分たちで作った菓子やジャムなどを朝市やイベントなどで販売し、収入を向上させるとともに自信をつけ、社会に出る契機になったという。
ご夫妻の関心と今後の期待
今回、センターでご夫妻を出迎える日系3世のミリアン・イハラさん(64)もプロジェクトに参加した一人で、「料理も人前で話すこともできるようになり、夢もいっぱいできて世界が広がった」と話す。
藤掛さんは7月に秋篠宮ご夫妻に招かれ、プロジェクトや現地女性の活躍ぶりを説明した。ご夫妻はメモを取りながら熱心に耳を傾け、紀子さまは女性が学んでいくプロセスに興味を持った様子だったという。
藤掛さんは「ご夫妻の訪問を通じて、地域の女性たちが自立して働く姿が広く伝われば」と期待する。



