東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議がフィリピン・マニラで開かれ、対立を深める日本と中国の両外相も22日の関連会合に参加した。防衛力強化を進める日本に対し、「新型軍国主義」などと批判を強める中国。両国の緊張関係をASEAN諸国はどう見ているのか。神奈川大学の大庭三枝教授(国際関係論)に聞いた。
ASEANの「場」としての機能
ASEANは国際社会に対して、対立関係にある米国と中国、ロシアを含む各国が対話するための「場」を提供してきた。これは、国際政治においてASEANが持つ求心力の表れだ。米国で第2次トランプ政権が発足して以降はホルムズ危機などを通じて、世界の不確実性が格段に高まっている。米中間でバランスをとってきたASEAN諸国は、ミャンマーや南シナ海の問題に対応を迫られるなか、米中のみならず他の国・地域とのさらなる関係強化に努め、域内で結束を固めようとしている。
そんななか、台湾海峡を巡る2025年11月の高市早苗首相の国会答弁以降、日中の対立が激化している。日中の現状は、ASEANを中心とする諸会議の「場」としての機能を揺るがしかねず、ASEAN諸国は困惑しているのではないか。
中国の「新型軍国主義」批判とASEANの受け止め
OSA供与にアジアは前向き 米国やフィリピンなどと連携して防衛力強化を進める日本を「新型軍国主義」などと非難する中国の言説に、ミャンマーなど一部は同調する姿勢を示しているようだ。ただ、ASEAN諸国が全体として、中国の主張になびくとは考えづらい。
むしろ、同志国の軍に防衛装備品などを無償提供する日本の「政府安全保障能力強化支援(OSA)」供与などを、アジア諸国はおおむね前向きに受け入れている。中国がなぜそのような主張をするのか、したたかなASEAN諸国は背景事情を含めて冷静に理解しているだろう。とはいえ、日本も誤解を招きかねない言動は慎むべきだろう。
ASEANが日本に期待する役割
国際法の順守や多国間体制は、中小国のASEAN諸国にとって生命線だ。それを軽視するかのようなトランプ政権の動きに、彼らはいらだっている。ASEAN諸国が米国と進んで手を切るとは考えづらいが、中国への傾倒が今後強まることは予想される。彼らはルールに基づく国際秩序を守るよう訴え、実行する役割を、日本に対して期待しているのではないか。



