ジャーナリストの池上彰氏が、連載『そうだったのか!中東』の中で、サウジアラビアの急速な変貌について解説している。同氏は、伝統的な宗教勢力を掃討し、日本のアニメ「ドラゴンボール」を題材としたテーマパークを構想するなど、以前では考えられない変化が起きていると指摘する。
サウジアラビアの改革の背景
サウジアラビアは、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の主導で「ビジョン2030」と呼ばれる大規模な経済改革を推進している。石油依存からの脱却を目指し、観光やエンターテインメント産業への投資を加速させている。その一環として、日本の人気漫画・アニメ「ドラゴンボール」のテーマパーク建設が計画されていることは、象徴的な出来事だ。
伝統勢力の排除と社会的変化
池上氏は、かつてサウジアラビアでは宗教警察が厳格な統制を行い、映画館や音楽コンサートが禁止されていたことを指摘。しかし、現在はこうした規制が大幅に緩和され、女性の運転解禁や観光ビザの発給など、社会の開放が進んでいる。伝統的な宗教勢力の影響力は大幅に削減され、皇太子の権力基盤は強固なものとなっている。
ドラゴンボールテーマパークの意義
ドラゴンボールテーマパークは、サウジアラビアの首都リヤド近郊に建設される「キディヤ」という巨大エンターテインメント都市の一部として計画されている。池上氏は、このような日本のポップカルチャーを積極的に取り入れる姿勢は、かつての保守的なサウジアラビアでは考えられなかったと述べている。同パークは、世界中からの観光客を呼び込む目玉施設となる見込みだ。
経済多角化への挑戦
サウジアラビアは、石油収入に依存した経済構造からの脱却を急いでいる。ビジョン2030では、観光業のGDP比率を現在の3%から10%に引き上げる目標を掲げている。ドラゴンボールテーマパークをはじめとする大規模プロジェクトは、その象徴的な取り組みと言える。池上氏は、こうした変化が中東地域全体に与える影響にも注目すべきだと指摘する。
国際社会の反応
サウジアラビアの改革には、国際社会からも注目が集まっている。一方で、人権問題やイエメン紛争への関与など、批判的な見方も根強い。池上氏は、サウジアラビアの変貌は、中東の地政学的なバランスにも影響を与える可能性があると分析している。



