タイ・バンコク近郊で、元JR東日本のキハ40系気動車が通勤列車として運行を開始した。観光列車としてではなく、都心に乗り入れないフィーダー路線としての活用が注目されている。
レッドラインの開業と課題
2021年11月、日本の円借款を活用して、バンスー(クルンテープアピワット)―ランシット間約26kmの「ダークレッドライン」と、バンスー―タリンチャン間約15kmの「ライトレッドライン」が開業した。これらは非電化だったSRT路線の一部を電化・高架化した通勤路線で、日立製の電車が新しい高架を走る姿は、バンコク版の「つくばエクスプレス」のようだ。
バンコク首都圏ではBTSやMRTなど都市鉄道が発展しているが、カバーエリアは中心部から約30km圏にとどまる。SRTの強みはその先に線路が繋がっていることだが、それが十分に生かされていない。
フィーダー列車の試みと課題
SRTは2022年6月から、ライトレッドラインに接続するフィーダー列車を運行。タリンチャンから約42km先のナコンパトムまでを結ぶが、当初10往復から現在は朝夕のみ4往復に減少。車両も1980年代に日本から導入された非冷房の気動車で、居住性が良くない。
ダークレッドラインに接続するキハ40系の通勤列車は、このフィーダー列車の運行区間と車両を変えたリベンジマッチとも言える。
キハ40系の運行実態
朝ラッシュの上り列車を取材するため、ドンムアン駅に赴いた。発車は6時10分。この列車に乗り継ぐにはバンスー5時発または5時15分発のダークレッドラインに乗る必要があり、バンコク中心部からのアクセスは不便だ。
ドンムアン駅の改札前は長距離列車を待つ乗客で賑わい、アユタヤ行きのキハ40系列車のチケットを求める人も見られた。
普通列車だが「特別な種別」
キハ40系は観光列車ではなく、通勤列車として運行されているが、その種別は「S.Commuter」と表示され、特別な位置づけがなされている。都心に乗り入れず、郊外のフィーダー路線として活用されることで、既存の路線網を補完する役割を果たしている。



