タイ・バンコク近郊で、元JR東日本のキハ40系気動車が運行を開始した。しかし、その用途は観光列車ではなく、日常使いの通勤列車である。運行本数は1日3往復、朝夕のみで土日は運休。起点は都心から離れたドンムアンで、都心部には乗り入れない。
車両不足と赤字に悩むSRT
タイ国有鉄道(SRT)は慢性的な車両不足と赤字に直面している。政府の方針により運賃は異常に安く抑えられ、かつては無料の時期もあった。そのため、SRTは政府からの予算配分なしには経営が成り立たない。2014年のプラユット政権以降、インフラ投資で複線化や高架化が進んだが、車両は中国製機関車や冷房付き寝台車が導入されたものの数は少なく、旅客列車の運行本数は20~30年ほとんど変わっていない。新車を導入してもスペアパーツ購入予算がなく、使えない車両も多い。
観光列車とは対極の存在
これまでSRTでは、元JR北海道のキハ183系や14系客車を用いた観光列車が運行されており、2000バーツ(約9600円)前後の高価格帯で観光客向けの車両不足解消と収益改善に貢献してきた。しかし、キハ40系はその対極にある。この列車の本分は、ドンムアンの1つ隣のランシット駅で、通勤路線「レッドライン」に接続することにある。レッドラインでは日立製の通勤電車が走っている。
フィーダー列車のリベンジ
キハ40系は、JR東日本から譲渡された気動車で、タイでの運行は「フィーダー列車」としての役割を担う。これは、都心から離れた地域と主要路線を結ぶ短距離輸送を目的としており、観光客よりも地元住民の通勤需要に応えるものだ。SRTは今後、このようなフィーダー列車を増やし、既存の通勤路線との接続を強化することで、利用者数の増加を目指している。



