能登復興でCF支援、小笠原さんが語る資金調達の極意
能登復興でCF支援、小笠原さんが語る資金調達の極意

クラウドファンディング(CF)伴走支援業「エフライフ」社長の小笠原隼人さん(41)は、能登地域で復興事業の資金調達を支援している。これまでに主担当として3件のプロジェクトに携わり、単発の相談も15件ほど受けたという。

東日本大震災の経験を能登で生かす

小笠原さんは東日本大震災の被災地でCFの伴走支援経験を持つ。発生翌年の2012年に福島県へ移住し、任意団体で被災地の子どもを対象とした電話による傾聴活動を行った。しかし、当初多く寄せられていた支援金や寄付金は3年で縮小。地域活性化に取り組むNPOなどが必要とされていた団体が、予算上の制約で事業継続を断念していった。

「自立したビジネスをたくさん作ることが必要だ」と、2015年から起業支援に携わり、自身もCFを活用して飲食店を開業。復興庁が主導するCF支援事業の地域コーディネーターとして、3年間に約50件のプロジェクトを伴走支援した。

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能登での支援とキッチンカー購入プロジェクト

公募に参加し、昨年8月に能登での支援を開始。始めたい事業に適用できる補助金がなかったり、補助金を活用した上で自己負担分をCFで集めようとしたりする事例が多かった。

中でも、金沢市内でフランス料理店を経営し、能登地域の被災地で炊き出し支援を続けてきたシェフのプロジェクトは苦労した。災害時に場所や天候を問わず衛生的に料理を振る舞うため、200食以上を一度に調理できる設備を備えた業務用キッチンカーの購入費用を調達しようとしていた。

募集期間は昨年11月中旬から今年1月下旬の約2か月間。小笠原さんが携わるようになったのは1月中旬で、きっかけはシェフの妻が「諦める前に、最後に相談だけしておこう」とメールをくれたことだった。

残り2週間で支援額は目標の約3割

プロジェクト終了まで残り2週間を切っているのに、当時の支援金額は目標金額500万円に対し約3割の160万円あまり。「最終日まで諦めなくて大丈夫です」と返信し、毎日SNSで情報発信することや、一日30人にLINEを送ることを助言した。

ビデオ会議ツールを用いたヒアリングも計約6時間行い、15本の記事を作成。なぜ金沢の料理人がやるのか、なぜキッチンカーなのか、シェフはどんな人柄か……。CFのページを閲覧した人への訴求力はもちろん、シェフら自身が考えを整理することにも役立った。

「お金をくださいと言っているみたいで気が引ける」と知人への連絡をためらっていた夫婦も、「これ読んでみて」とだけなら送りやすい。心の負担を減らす工夫でもあった。やるべきことを整理したことで支援金額は右肩上がりに集まり、最終的に目標金額を超える約550万円が寄せられた。

CFの心構えと今後の展望

小笠原さんは「CFはインターネットからお金をもらうわけではありません。ネットの向こう側にお財布を持った人がいることを忘れず、身近な人を思い浮かべて行動を起こすことが重要です」と語る。

CFは行政の補助金や金融機関の融資と並ぶ自助・共助のインフラになりつつある。能登官民連携復興センターが開催しているセミナーでは、CFを行う場合の補助金や、ページ作成を支援する「認定サポーター」を紹介している。能登の復興に向けた事業資金をCFで集めた人から直接体験談を聞ける場も用意されており、「検討している人は、ぜひ一度聞きに来てみてほしい」と呼びかけている。

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