グロービス経営大学院の研究グループは、日本企業で新規事業に挑戦する47人のイントレプレナー(社内起業家)へのインタビューを実施。その結果、社内起業家は「生まれつく」のではなく、挑戦の過程で「育つ」ことが明らかになった。同研究グループは、この変容プロセスを「イントレ・ジャーニー」と名付け、新刊『イントレプレナー(社内起業家)の教科書 新規事業を成功に導く50のQ&A』にまとめた。
イントレプレナーは「生まれつく」のではなく「育つ」
同書の執筆者の一人で、グロービス経営大学院特任副学長の田久保善彦教授は、「インタビューを通じて浮き彫りになった一つの大切な真実は、今はイントレプレナーと言われる人たちも、最初からまれに見る才能や不退転の決意を携えた『選ばれし者』ではなかったということです」と述べている。彼らの多くは、日々懸命に働く一介の社員であり、ある小さな契機から挑戦の道へ足を踏み入れ、数多の試行錯誤と葛藤を経て、事業と共に自らを作り変えていったという。
迷い、立ち止まり、もがき苦しみながら進んできた
新規事業への挑戦には高揚感と同時に「不安」が伴うことが多い。「果たして自分に務まるのか」「失敗した場合、キャリアに傷がつくのではないか」「周囲の理解を得られるのか」といった問いが、挑戦を躊躇させる原因となる。しかし、企業側にとって新規事業はもはや「選択」ではなく「生存条件」である。技術革新と顧客ニーズの変化が加速する現代、既存事業を洗練させるだけで未来を担保できる時代は終わったと田久保教授は指摘する。
「撤退」や「凍結」でも残るものはゼロではない
同書では、47人のイントレプレナーが直面した壁や、それを乗り越えた知恵、「志・行動様式・人的ネットワーク」の育て方、身に付け方を学ぶことができる。挑戦のきっかけは3つの型に大別できるとされ、撤退や凍結を経験した場合でも、そこで得た経験やネットワークは無駄にならないという。
一人の挑戦が組織の空気を変えていく
田久保教授は「一人の挑戦が組織の空気を変えていく」と強調する。社内起業家の存在は、周囲の社員にも刺激を与え、組織全体のイノベーション文化を醸成する効果がある。同書は、これから新規事業に挑もうとする社員や、社内起業家制度を導入したい企業の経営者にとって、実践的なガイドとなるだろう。



