ビジネスイントレプレナー(社内起業家)への挑戦は、キャリアにもプラスとなる。グロービス経営大学院特任副学長の田久保善彦教授は、先人47人から学ぶ成長のジャーニーを提唱する。新規事業への挑戦は、会社の未来を創るだけでなく、挑戦者自身の人生を切り拓く営みでもある。
挑戦の第一歩:完璧な計画はいらない
文化をつくるための最初の一歩として、挑戦する立場の人は、完璧な計画を待つ必要はない。まずは小さな仮説を立て、最初の一人に会いに行くことが重要だ。志が曖昧なままでもかまわない。語り、反応を受け取り、違和感を言葉にする。その往復こそが、志を育て、人的ネットワークの端緒となる。
支援する立場の人は、挑戦者が「安心して実験できる余白」を守り抜くことが求められる。小さな失敗を咎めない空気、撤退を「貴い学び」として語り直すメッセージ、挑戦そのものを称える評価。そうした目に見えないインフラが、次の挑戦者を呼び寄せる。
一人の挑戦が組織の空気を変える
新規事業に挑むことは、会社の未来を創るだけでなく、挑戦者自身の人生を切り拓く営みでもある。未知の領域へ踏み出すことは恐怖を伴うが、その先には視界の広がりと、確かな人生の手応えがある。「自分には無理かもしれない」という心の揺らぎを、挑戦を諦める理由にしてはいけない。むしろ、その揺らぎがあるからこそ、人は学び、強くなれるのだ。
一人の挑戦が、次の誰かの一歩を誘い、やがて組織の空気を変えていく。本書に登場した47名が教えてくれたのは、まさにその連鎖である。イントレプレナーの先人たちのストーリーは、これから挑戦する人たちをそっと、しかし確かに後押ししてくれるだろう。



