リモートワークの普及や拠点の分散により働き方の多様化が進む中、従業員の一体感をどう醸成するかが企業の課題となっている。周年は絶好の機会だが、従来の「一律配布の記念品」では喜びや共感を生みにくい。この打破策として、ギフティが展開する「Corporate Gift(コーポレートギフト)」サービスが注目されている。同社の田﨑豪介氏と、活用した富士通クライアントコンピューティング(以下FCCL)の総務担当の楠崎充氏、内藤邦子氏に話を聞いた。
「全員に同じ喜びを」と挑戦した10周年施策
コーポレートギフトとは、企業が取引先や顧客、従業員との関係性構築や強化を目的として、感謝の気持ちを表すために贈るギフトのこと。ギフティは、企画から製作、配送までをワンストップで担い、受け取り手とのよりよい関係性構築のためのギフト体験を支援するプロフェッショナルチーム「STUDIO GIFTEE」を2024年に発足。多くの企業で採用実績を重ね、2月にはFCCLの創立10周年記念施策として採用された。
FCCLでは、これまでも創立記念日に従業員に菓子などを贈っていたが、コロナ禍で中断。これを創立10周年を機に実施することとなった。「10周年の節目を、従業員の皆さんに感謝し一緒にお祝いする機会にしたい、かつ以前よりよいものを贈りたいという気持ちがありました」(楠崎氏)。
同社グループは約2000人の従業員と国内外20の拠点を擁し、コロナ禍でリモートワークが増え従業員同士の対面機会が減少。そこで、全員で喜びを共有できる記念ギフトとしてアパレル商品を選定し、自分で選ぶ楽しさも味わえるよう4種類の品を用意。それぞれの仕様やブランドロゴの入れ方、届け方にも徹底的にこだわった。「海外も含めて全員に満足する体験を届けられるよう、内容はかなり綿密に練りました。その後、実現に向けて複数の委託先を検討する中で、私たちの要望に全て丁寧に応えていただけたギフティさんにお願いすることにしました」(内藤氏)。
「選ぶ楽しさ」をスマートに配送までウェブで完結
このギフトを担当したのが、STUDIO GIFTEEの田﨑氏。楠崎氏や内藤氏と対話を重ねた上で、1.「周年にふさわしいラインアップの企画」、2.「在庫不要なオンデマンド生産方式」、3.「アイテム選定から住所入力までをウェブで完結し、全国の従業員の自宅へ配送する仕組み」の3点を企画した。
田﨑氏は「今回のギフトが従業員の皆さまにとって、FCCLさまのパソコンブランドFMVの価値観を再認識するきっかけになればと思って取り組んだ」と語る。「10周年にふさわしく、FMVの『心地よく使える』『使う人の体験を中心に考える』といった価値観と同じ体験を従業員の方々にお届けしたい――。その思いを軸にラインアップやお届け方法を整えていきました」。
実現に当たっては、1着からオンデマンド生産可能なギフティの仕組みを活用することで、各品の希望数のばらつきに対応できること、さらに基本となる自宅配送だけでなく、希望者が多かったオフィスでの受け取りにも応えられる柔軟性を備えていたことも強みになった。
提案後もFCCLの要望に応えて細かな修正を重ね、最終的には色やサイズ違いを含め全23のバリエーションを製作。この中から各従業員に希望の品を選んでもらい、特別にデザインした専用箱にメッセージを同梱して届けた。「配送は手渡しに比べてどうしても温度感が伝わりにくい。だからこそ開けた時の喜びを高められるようにと、この形を提案しました」(田﨑氏)。
感謝の気持ちを具現化し「体験」を届ける
総務部の思いがこもった記念ギフトは、予想以上の反響を呼んだ。社内では「どれを選んだか」が大きな話題になったほか、地域清掃活動や販売店でのイベント支援、新商品の記者会見といった場で着用する人も。いずれの品にもブランドロゴが入っていることから、楠崎氏は「思った以上に愛社精神がある人が多く、おかげでブランドが対外的に認知される機会が増え、社内の一体感も増した」と振り返る。
パーカーとTシャツ(各白黒・サイズ多数)、トートバッグ(白黒)、ニットキャップ&ブランケットの4種・全23のバリエーションをラインアップ。オンデマンド生産で国内外約2,000人の従業員に記念ギフトとして贈られた。
内藤氏も「菓子を配布していた頃より反響が大きく、よい記念ギフトだったという声がたくさん届いた」と喜ぶ。さらに、今までにない取り組みという点が評価されて本部長賞も受けたという。
一方、田﨑氏は「今回一番うれしかったのは、お二人に『楽しかったです』と言っていただけたこと」と語る。「こうした施策の実施には、社内調整や意思決定などご担当者にとって大変なことが山ほどあります。ですから、受け取った従業員の方々はもちろん、ご担当者さまにも楽しんでいただけたらベストだと思っていました」。
ギフティでは、コーポレートギフトの価値は記念品やギフトを渡すという「手段」ではなく、それを通じて「体験を届ける」点にあると考えている。FCCLも、記念ギフトを通じて自社ブランドへの共感や従業員同士の会話を生む方法を考え抜いた。今回の事例は、企業がよき伴走者を得て従業員への思いを形にし、一体感の醸成につなげた好例と言えるだろう。
「今後も、企業が従業員の皆さまへ届けたい思いを具現化するお手伝いをしていきたい」と田﨑氏。HR施策の有望な一手として、同サービスの今後の展開に注目したい。



