福岡市の高島宗一郎市長は、スタートアップ新聖地としての福岡の差別化戦略について、エヌビディアのCEOを中洲に招きたいという構想を明かした。同市は推計で2040年まで人口が増え続け、開業率は7年連続全国トップを誇る異色の自治体だ。高島市長に、これまでの成果と今後の課題を聞いた。
スタートアップ都市宣言の原点
高島市長は2012年に「スタートアップ都市ふくおか宣言」を発表した。そのきっかけは、市長就任翌年の2011年に訪れたアメリカ・シアトルの視察だった。シアトルはアマゾン・ドット・コムを筆頭に多くのスタートアップを輩出しており、温暖な気候やコンパクトな都市構造、若者の多さなど、福岡市との共通点が多かったという。「福岡市にも同じ土壌がある」と考え、スタートアップ都市宣言に踏み切った。
当時掲げた目標は「福岡から巨大な企業を生み出そう」という高いものだった。実際に宇宙系スタートアップのQPS研究所など新規株式公開(IPO)を果たす企業も現れたが、その数はまだ少ない。BtoBビジネスにおいては、東京への一極集中メリットや顧客の集積が大きく、地方には難しさがあると市長は認める。
福岡の強みと差別化戦略
福岡市は、他の地方都市と一線を画すために「ドリルの刃」のようにとがった戦略を取る。人口増加の見通しや高い開業率に加え、スタートアップ支援の独自施策を打ち出している。高島市長は「福岡はドリルの刃のように、とがって埋没を回避する」と述べ、差別化の重要性を強調する。
具体的には、エヌビディアのCEOを中洲に招く構想など、ユニークなアイデアで注目を集めようとしている。中洲は福岡を代表する繁華街で、市長は「ここでビジネスとカルチャーの融合を図りたい」と語る。このような取り組みが、福岡をスタートアップの聖地としてさらに押し上げる可能性がある。
課題と今後の展望
一方で、課題も残る。スタートアップのエコシステムをさらに強化するためには、大企業との連携や資金調達の仕組みづくりが重要だ。高島市長は「東京に依存しない独自の経済圏を築く必要がある」と指摘する。また、人材の確保や育成も急務で、福岡の大学との連携を深める方針だ。
福岡市の挑戦は、地方創生のモデルケースとしても注目される。2040年まで続く人口増加を追い風に、スタートアップの聖地としての地位を確立できるか。高島市長のリーダーシップに期待がかかる。



