電通は8月18日、電通デジタルと共同で、心理学理論とAIを活用して顧客群の性格特性を可視化するソリューション「BPTS(Big5 Personality Trait Segment)」の提供を開始したと発表した。属性データや行動データだけでは把握しにくい「なぜその広告や商品に反応したのか」という、より深い顧客理解を支援するという。
BPTSの概要と開発の背景
BPTSは、心理学分野で代表的な「Big5理論」を基に、10万人規模の調査データとAI・統計モデルを用いて、顧客群を性格特性ごとのグループとして可視化するソリューション。個人単位ではなくグループ単位で性格特性を分析することで、属性データや購買・来店といった行動データだけでは見えにくい顧客理解を可能にするほか、広告効果の分析やコミュニケーション設計、配信の最適化までを一気通貫で支援する。
近年のデジタルマーケティングでは、属性データや行動データを活用した顧客分析が一般化している一方、顧客の意思決定は個人の価値観や感情に左右されるため、「誰が反応したか」は把握できても「なぜ反応したのか」までは十分に捉えきれていないことが課題だったという。そこで両社は、行動の背景にある性格特性に着目した。
8つの性格特性と監修
BPTSの開発にあたっては、パーソナリティ心理学を専門とする早稲田大学の小塩真司教授が監修した。「Big5理論」の5因子である「開放性」「誠実性」「外向性」「協調性」「否定的情動性」に基づく心理尺度に加え、消費行動との関連を分析するため、電通と電通デジタル独自の「獲得特性」「承認特性」「勇気特性」の3尺度を追加。計8尺度から性格特性を測る調査を10万人規模で実施した。
調査結果は数理モデルで評価し、回答のばらつきやバイアスの影響を補正したうえで、統計的に安定した潜在的な性格特性データを抽出したという。8尺度はそれぞれ独立しており、各尺度で相対的に高い傾向(High)と低い傾向(Low)を示す。両社は、8つの性格特性それぞれのHighとLowをイメージしたキャラクターを1体ずつ、計16体開発した。
活用領域と今後の展開
BPTSは、ロイヤル顧客や休眠顧客の性格特性を踏まえた顧客分析や、広告面・クリエイティブごとの効果分析などに活用できる。また、LINEヤフーとの共同分析プロジェクト「SynWA project」を通じて機械学習による解析を行い、広告配信・分析にも対応する。第1弾として「LINEヤフー広告」などを対象にサービス提供を開始し、今後は他プラットフォームの各媒体へ順次拡大する予定としている。
活用領域としては、購買履歴と性格特性を組み合わせた「顧客分析」、広告面やクリエイティブごとの反応傾向を可視化する「広告効果分析」、既存セグメントとの組み合わせによる広告配信やCRM(顧客管理)でのコミュニケーション設計を行う「配信活用」、新商品開発やペルソナ設計、訴求軸の検討に用いる「企画・開発」の4つを挙げている。
電通と電通デジタルは今後もBPTSを通じ、属性や行動データだけでは捉えにくい側面から顧客理解を深め、企業のマーケティング高度化と持続的な事業成長に貢献していくとしている。



