1974年に「東京以北最大級の百貨店」として建設された建物は、現在も当時の規模を保つが、上層階には空き区画や使われていないスペースが目立つ。松戸市は1968年、将来の都市像として周辺から買い物客を集める「消費センター」を備えた「大松戸市」を目標に掲げ、後に伊勢丹が入るこの建物がその象徴だった。しかし、百貨店が撤退した現在、建物全体を活用できているとは言いにくい。
空き区画は一時的でなく、現在も続く課題
空き区画の問題は以前から市議会で取り上げられていた。2021年には、市議がキテミテマツドのフードコートなどに空き区画が残っていることを挙げ、テナント誘致に対する市の姿勢を質問。これに対し担当課は、施設の入居率について「具体的な数字は持ち合わせていない」と答弁した。今回の取材でも、数年前に空いていた区画は白い壁のまま残っており、空きスペースが現在まで続く課題であることが確かめられた。
「キテミテマツドになっても人は増えていない」
駅前を歩く限り生活に必要なものは一通りそろうが、地元の人の印象は違う。取材した30代の男性は「キテミテマツドになった後も人は増えていない。寂れている感じがする」と振り返る。「伊勢丹があった頃は店の中にはいつも人がいた。物産展なんかもやっていた」という。駅前に人がいないわけではないが、百貨店があった時代と比べてにぎわいが失われた実感があるようだ。
こうした感覚は市の調査にも表れている。2025年の市民意識調査では、「松戸市は住みやすい」と答えた市民は74.8%にのぼる一方、「まちのにぎわいや買い物の便」に満足している人は38.3%にとどまり、不満と答えた人は22.5%いた。「文化・芸術の鑑賞や活動環境」の満足度は11.1%と特に低い。自由回答欄には、「デパ地下などの食品の良い品物を買えるようにしてほしい。友人たちは松戸には何も買いたい物がないと全ての人が言っている」「松戸駅には人が多いが松戸の街には人が少ない。北千住、柏に行ってしまうのでは?」「伊勢丹がなくなって不便になりました。今は日本橋の三越と柏の高島屋に出向いていますが大変です」といった声が寄せられた。



