今年のミッレミリアで、イタリアの伝統的ブランドであるオスカ(O.S.C.A.)やイターラ(ITALA)が復活を遂げた。しかし、復活の背後にはバッジエンジニアリングの現実が横たわる。
DR社の低価格戦略と競合比較
DR社の中核SUVの競合となるフィアット「500X」や新型「600」のベース価格は、約2万3850~2万5950ユーロ(約395万~430万円)である。DR車を選べば、それだけで4000ユーロ(約65万円)以上安く購入できる。また、同セグメントのジープ「レネゲード」はベース価格が3万350ユーロ(約500万円)からであり、DR車はその約3分の2の価格で手に入る。
低価格SUVとして定評のあるダチア「ダスター」は1万9900ユーロ(約330万円)からと、DR 4.0/5.0と完全に同じ価格帯だが、ダチアのベースグレードが装備を最小限に抑えているのに対し、DRは同じ価格でアルミホイールや大型ディスプレイ、レザー調シートなどの豪華装備がすべて標準で付いている。
現地での実勢価格感覚
日本円換算は現在の円安や物価水準の差を反映しており、現地の金銭感覚とは乖離がある。筆者の経験に基づく個人的感覚だが、実勢価値を把握するには日本円換算価格の7掛け程度に引き直す必要がある。例えば、DR 4.0の約330万円は現地イタリア人の感覚では実質230万円クラスの実用車にあたり、競合のフィアット500X(約395万円)は実勢270万円クラス、ジープ レネゲード(約500万円)は350万円クラスとなる。つまり現地では、日本でトヨタ「ヤリス クロス」やホンダ「ヴェゼル」のベースグレードを購入する予算で、ひと回り大きなCセグメントのフル装備SUVが手に入る状態であり、この価格差がDR社の躍進を支えている。
法的問題と制裁金
しかし、この急速な成長は既存のルールとの衝突を引き起こした。イタリアの公正取引委員会(AGCM)は、DR社に対し600万ユーロ(約10億円)の制裁金を科した。
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