COP29合意に日本企業が抱く期待と不安、炭素市場の行方
COP29合意に日本企業が抱く期待と不安

COP29で国際炭素市場のルール合意

2024年11月にアゼルバイジャン・バクーで開催された国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)で、国際的な炭素市場の運用ルールが合意された。これにより、パリ協定第6条に基づく排出権取引の枠組みが具体化し、日本企業にとって新たなビジネスチャンスと課題が浮上している。

日本企業の期待:排出権取引の拡大

日本経済団体連合会(経団連)は声明で「国際炭素市場のルール合意は、企業の脱炭素投資を後押しする」と歓迎した。特に、鉄鋼や化学などの重厚長大産業では、排出権の購入によって自社の排出削減目標を達成する選択肢が広がる。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの試算によると、2030年までに国際炭素市場の規模は約1兆円に達する可能性がある。

不安要素:コスト増と競争力低下

一方、日本商工会議所は「排出権の価格高騰が中小企業の負担になる」と懸念を示す。実際、EUの排出権取引制度(EU-ETS)では、2024年の排出権価格が1トン当たり80ユーロを超える水準で推移している。日本の製造業は国際競争力の低下を恐れ、政府に対策を求めている。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

専門家の見解:透明性が鍵

東京大学の山本教授(気候変動政策)は「合意されたルールでは、排出権の二重計上を防ぐ仕組みが不十分だ」と指摘する。実際、過去のクリーン開発メカニズム(CDM)では、実際の削減量よりも多くの排出権が発行される事例が報告されている。COP29の合意では、各国の排出量報告の透明性を高めるために、国連の中央管理システムの導入が決まったが、運用開始は2026年以降になる見通しだ。

企業の対応:戦略の見直し

日本企業の間では、排出権取引への参加準備が進む。三菱商事は2024年12月、シンガポールに炭素クレジットのトレーディング子会社を設立した。また、東京ガスは、東南アジアの森林保全プロジェクトから排出権を調達する計画を発表した。一方、トヨタ自動車は「自社の技術革新による排出削減を優先する」とし、排出権購入に慎重な姿勢を示している。

今後の展望:市場の拡大と課題

国際エネルギー機関(IEA)の報告書によると、世界の炭素市場の取引額は2023年に約9500億ドルに達し、2030年には2兆ドルを超えると予測される。日本政府も、2025年度中に国内排出権取引制度の拡充を検討する方針だ。しかし、国際ルールの実効性や価格の安定性など、解決すべき課題は多い。企業は、リスクと機会を慎重に見極めながら、脱炭素戦略を進める必要がある。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ