館山に移住、パッションフルーツ栽培が軌道に 梁さん、独自の完熟手法でブランド化
館山移住の梁さん、パッションフルーツ栽培が軌道に

館山市に移住し、パッションフルーツ栽培に取り組む梁寛樹(りょう・ひろき)さん(40)の事業が軌道に乗っている。独自の栽培方法で果実の味を追求しながら、加工品にも手を広げ、今年も収穫の最盛期を迎えた。

脱サラして移住、トロピカルフルーツで地域活性化

梁さんは2012年6月、26歳で脱サラし、サーフィンをしながら働くライフスタイルを目指して東京都から移住した。館山市の地域おこし協力隊となり、農家の後継者不足や耕作放棄地といった課題に接する中で、温暖な気候を生かしたトロピカルフルーツで地域を盛り上げようと考えた。

試しにパッションフルーツとマンゴー、アボカドを栽培したところ、パッションフルーツがおいしく仕上がった。「酸っぱくて、あまりおいしくないフルーツ」というイメージとは真逆で、大切に育てた果実は「ちゃんと甘みがあって酸味とのバランスもよかった」という。

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独自の完熟手法と洗濯バサミの工夫

協力隊の活動を続けながら、自身の農園「RYO'S FARM」を開園し、パッションフルーツのブランド果実としての可能性にかけることにした。協力隊として3年の活動の任期を終える時期に、高齢女性が1人でカーネーション栽培をしていたビニールハウスを譲り受け、栽培に集中。ハウス8棟を建て、約1500平方メートルの敷地で年間約2万個を生産するまでに成長した。

こだわりは有機肥料を使った減農薬農法だが、より特徴的なのは、落果を防ぎながら強制的に完熟させる独自の手法だ。パッションフルーツは熟すと自然に落果し、それを収穫して2週間ほどで色づいたら出荷するのが一般的。しかし、完熟するまで落果させない方が甘みが増すため、梁さんは落果防止のために洗濯バサミで茎を押さえる技術を考案した。

リリコイバターがヒット商品に

2016年、東京のマルシェで果実を販売していたところ、ハワイ帰りだという女性が「リリコイバターというのがハワイにあるけれど知っている?」と声をかけてきた。パッションフルーツを使ったバタージャムのことで、リリコイはハワイの言葉でパッションフルーツを意味する。

半信半疑のまま、果実とバター、卵、砂糖を一緒に煮込んで作ってみたら、とてもおいしかった。商品化するとたちまち農園のヒット商品に育ち、都内をはじめ全国のベーカリーで扱われるまでになった。館山市は果実そのものとともに、市のふるさと納税返礼品に加えた。

梁さんは「美容にも良いとされる種も入っている。プチプチとした種の食感、フルーツそのものの爽やかな香り、バターの濃厚さを楽しめます」と話している。

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