サントリーホールディングスの新浪剛史社長は、酒類業界の展望について、ウイスキー市場の拡大にはプレミアム化と海外需要の取り込みが不可欠だと述べた。同社のウイスキー事業は、国内市場の成熟化を背景に、高級品へのシフトと輸出強化を推進している。
ウイスキー市場の現状と戦略
新浪社長は、日本のウイスキー市場は近年、国内外で需要が拡大していると指摘。特に、高価格帯のプレミアムウイスキーが好調で、2022年の国内出荷額は前年比で約10%増加したという。同社は「響」や「山崎」などの高級ブランドを軸に、海外市場でのプレゼンスを高めている。また、2021年には米国の蒸留所を買収し、現地生産にも乗り出している。
一方で、世界のウイスキー市場はスコッチやバーボンが支配的であり、日本のウイスキーがシェアを拡大するには、品質の向上とブランド力の強化が課題だと述べた。同社は、長期熟成の原酒を増やし、限定品の発売を通じて希少価値を高める戦略をとっている。
日本酒の海外展開への意欲
新浪社長は、日本酒についても海外市場での成長可能性に言及。日本酒の輸出額は2022年に過去最高の約474億円を記録し、10年で約3倍に増加した。しかし、世界の酒類市場に占める割合はまだ小さく、さらなる普及には「食文化との組み合わせ」が重要だと強調した。
同社は、日本酒ブランド「白鶴」などを展開しており、海外の日本食レストランとの連携を強化している。また、日本酒の味わいをわかりやすく伝えるため、英語でのテイスティングノートやペアリング提案を充実させているという。
酒類業界の未来と課題
新浪社長は、酒類業界全体として、国内市場の縮小に対応するため、海外展開とプレミアム化が不可欠だと語った。特に、若者の酒離れが進む中で、高品質な商品を提供し、飲酒文化の価値を再定義する必要があると指摘。また、サステナビリティへの取り組みとして、環境負荷の低い製造プロセスやリサイクル可能な包装の導入を進めている。
さらに、AIやデータ分析を活用したマーケティングにも注力しており、消費者ニーズに合わせた商品開発を加速させると述べた。



