日本人のお腹の味方として120年にわたり親しまれてきた正露丸。しかし、その「効果」が科学的に証明されたのは、実はそれほど昔のことではない。大幸薬品は存続をかけた研究の末、現在では国内外で成長を遂げている。
売上高15年で2倍、海外比率も上昇
大幸薬品の売上高は2009年3月期に約10億円だったが、2025年12月期には約23億円と、15年間で2倍以上に増加した。また、医薬品事業全体に占める海外比率も約20%から39%程度に上昇している。
同社は中国市場において、すでに一定の認知度を持つ香港、広東省、福建省から、さらに上海や北京など沿岸部の高GDP都市への展開を強化中だ。鍵となるのは「ラッパのマーク=正露丸」のブランド力を支えるプロモーション戦略である。
国内では継承策、海外では新市場開拓
国内市場では大幅な成長を期待するよりも、親から子へとブランドを確実に引き継ぐ施策に注力。若年層向けのSNSマーケティングや、正露丸をモチーフにしたTシャツ、キーホルダーなどのグッズ販売も手掛け、タッチポイントの拡大を図っている。
一方、海外では香港で高層ビル街を走る「正露丸トラム」を運行するなど、積極的なプロモーションを展開。次の100年を見据え、国内外でのブランド価値向上に取り組んでいる。
当たり前の存在であり続ける難しさ
けがをしたときの絆創膏、風邪のときの葛根湯、お腹のトラブルに正露丸。こうした「当たり前の存在」であり続けることは、企業にとって容易ではない。生活習慣や衛生環境、消費者の価値観は時代とともに変化し、かつて支持された商品が忘れられることも珍しくない。
薬局の胃腸薬コーナーに並ぶ赤いラッパのマーク。その裏には、長年にわたる研究開発とマーケティングの試行錯誤がある。大幸薬品は、伝統と革新のバランスを取りながら、正露丸ブランドの次なる100年を築こうとしている。



