佐賀市の中心部、佐賀県庁にほど近い商店街沿いにある複合ビル「エスプラッツ」から今年5月、中核テナントのスーパー「アスタラビスタ」が売り上げ不振のため撤退した。まちづくりの拠点として期待されながら、中心市街地の空洞化などで度重なる苦境に立ってきたビルは、新たに大手ディスカウント店を核としてにぎわい復活を目指す。
開業当初から苦しい船出
エスプラッツは佐賀市白山2丁目の12階建て複合ビルで、飲食店や衣料品店、観光案内所、文化センターなどが入り、上層部は分譲住宅となっている。ビルが位置するのは、江戸時代に長崎と小倉(北九州市)を結んだ旧長崎街道の上。もともと古くからの小規模な商店が立ち並ぶ場所で、1998年に商店主らでつくる協議会による再開発事業でオープンした。
中心商店街活性化の起爆剤として期待されたが、当初から収支見通しの甘さが指摘され、開業時点で店舗の入居率は8割にとどまる苦しい船出だった。客足が伸びず、1999年には最初のスーパーが閉店。管理運営を担っていた第三セクターは2001年に経営破綻した。その後も2店目のスーパーが閉店するなど撤退が相次ぎ、2003年にビルは事実上閉鎖した。
市の支援も実らず
佐賀市が商業床を買い取り、2007年に再オープン。市からの要請を受けてアスタラビスタが3店目のスーパーとして入ったが、売り上げは低迷し、テナント使用料を減額して市が穴埋めする措置が続いていた。近年は新型コロナの影響で経営環境がさらに厳しさを増していたという。
苦境の背景には中心街全体の空洞化がある。1980年から続く通行量調査(木曜~日曜の日中4日間の歩行者数)によると、1990年代前半には調査地点のエスプラッツ東側の交差点で4万人近い歩行者がいた。しかし、2000年代前半からは減少が顕著になり、現在まで回復していない。
再起への展望
エスプラッツは、新たに大手ディスカウント店を核テナントとして迎え、にぎわいの復活を目指す。中心市街地の活性化に向けた取り組みが再び試金石となる。