日本の屋根を形づくってきた伝統の瓦製造業が苦境にあえいでいる。屋根材の多様化で全国の生産量がピーク時の1割以下に落ち込むなか、瓦を焼き固めるのに使うLPガス(プロパンガス)の価格急騰が追い打ちをかけている。
淡路瓦の産地で主力商品の生産を一時停止
兵庫県の淡路島南部に位置する南あわじ市は、三州(愛知県)、石州(島根県)と並ぶ「日本三大瓦」の一つ、淡路瓦の中心産地だ。市内にある登瓦製造所の5代目社長、登康行さん(61)は「5月の大型連休明けから一時期、桟瓦の生産をやめました。作ったら赤字ですから」と嘆く。
桟瓦とは、飾りのないシンプルな瓦。屋根をつくる際にはベースとなり、単価は安いが枚数は出る。登瓦製造所の主力商品でもある。
ガス代は1キロ当たり195円まで高騰
淡路瓦の原料は淡路島産の粘土だ。成型して乾燥させ、プロパンガスを燃料にして焼き固める。さらに、淡路瓦で有名な、光が反射すると銀色に見える「いぶし瓦」は、プロパンガスを不完全燃焼させて大量の煙を発生させ、瓦の表面に炭素の薄い膜を形成させる。
今年、中東情勢の緊迫化により、ガス代が急騰した。4月は1キロ当たり143円だったが、5月には170円に。6月には194円、7月は195円で8月は181円に下がったが、9月以降も高い水準が続く。
ガス代の上昇を受け、登社長は…