大阪・関西万博出展の中小・新興企業、6割近くが業績にプラス影響
万博出展の中小・新興企業、6割近くが業績にプラス

読売新聞社が大阪商工会議所と共同で実施したアンケートで、大阪・関西万博に出展した中小企業と新興企業の約6割が、業績にプラスの影響があったと回答したことが分かった。万博は日本の先端技術を世界に発信する場となったが、その恩恵が中小・新興企業にも及んでいる実態が浮き彫りになった。

アンケートの概要と業績への影響

万博は昨年4月から10月までの半年間、大阪市の人工島・夢洲で開催され、日本と158か国・地域が「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに参加。来場者は2557万人に上った。

アンケートは、地元の産官学が設けた大阪ヘルスケアパビリオンの企画「リボーンチャレンジ」に参加した432社を対象に今年9月に実施され、113社が回答した。同企画は優れた中小・新興企業を世界に紹介することを目的に、選ばれた企業が1週間ずつ出展したもので、大阪商工会議所が企画・運営を担った。

業績への影響について、「大きなプラスの影響があった」と答えた企業は12.4%(14社)、「プラスの影響があった」は44.2%(50社)だった。出展の成果については「期待を上回った」「おおむね期待通り」を合わせて81.4%(92社)に上り、成果があったとする企業が大半を占めた。

具体的な成果と実用化の状況

具体的な成果(複数回答)で最も多かったのは「自社や技術、製品、サービスの認知度の向上」で83.7%(77社)、次いで「来場者の反応や利用データの収集」が51.1%(47社)だった。

漆と木粉からつくる自然由来の新素材を展示したELEMUS(エレムス)(愛知県岡崎市)は、業績に「大きなプラスの影響があった」と回答。出展によって認知度が上がり、商談が増えた結果、ホテルのカードキーに採用されたという。

一方、業績への影響について「どちらとも言えない」は41.6%(47社)だった。「人や時間、費用をかけた割に商談や顧客の獲得につながらなかった」(IT企業)など、取引先が広がらなかったことを理由に挙げる企業が目立った。「マイナスの影響があった」と答えた企業も2社あった。

出展した技術や製品について、閉幕後に実用化した企業は17.7%(20社)。「今後1年以内」と「今後5年以内」の実用化を見込む企業は合わせて38.9%(44社)に上った。一方、「未定」は24.8%(28社)あり、1社は開発を断念したと答えた。

今後の支援策への期待と専門家の見方

万博のレガシー(遺産)を生かすため、国や自治体に求めることを複数回答で尋ねたところ、「研究開発や事業化への資金支援」が63.7%(72社)で最も多く、「販路開拓の支援」が38.9%(44社)、「情報発信の支援」が34.5%(39社)だった。

大阪商工会議所で万博事業の責任者を務めた玉川弘子常務理事は「リボーンチャレンジは新たな発想やアイデアが出てくることを意識して企画した。6割近くの企業の業績がプラスになったのはうれしい結果だ」とし、「国が後押しするような技術以外にも光を当て、花開くようにサポートしていきたい」と話している。

日本総合研究所の藤山光雄・関西経済研究センター所長は「出展した中小・新興企業にとっては短期間の展示となったが、回答からは一定の効果があったことがうかがえ、貴重な機会になったといえる。一方、実用化まで長い時間がかかる技術やサービスも多く、国や自治体は資金調達や販路拡大の面で継続的に支援していく必要がある」と述べている。