自動車業界で電気自動車(EV)シフトが加速する中、部品大手各社は岐路に立たされている。エンジンやトランスミッションなど従来の内燃機関向け部品の需要が減少する一方、EV向け部品への投資が急務となっている。この構造変化に対応できなければ、生き残りは難しいとの見方が業界内で広がっている。
デンソー、エンジン部品生産を20%削減
部品大手のデンソーは、2025年までにエンジン関連部品の生産能力を現在比で約20%削減する方針を明らかにした。同社は2030年までに電動化関連事業の売上高を現在の約3倍となる1兆円規模に引き上げる目標を掲げている。デンソーの林宏之社長は「内燃機関の需要減少は避けられない。電動化へのシフトを加速し、収益源を多様化する必要がある」と述べている。
部品大手の業績に陰り
2024年4-9月期の決算では、主要部品メーカーの多くが減益となった。アイシンは営業利益が前年同期比で約15%減少し、住友電工も自動車部品部門の収益が悪化した。背景には、中国市場での需要低迷や、EVシフトに伴う研究開発費の増加がある。アナリストは「部品メーカーは従来のビジネスモデルからの脱却を迫られている」と指摘する。
業界再編の動き活発化
こうした環境下、部品業界では再編の動きが活発化している。2024年10月には、日立Astemoと本田技研工業の合弁会社がブレーキ部品事業を統合すると発表。また、三菱電機も自動車部品事業の一部を他社に売却する方向で検討を進めている。業界関係者は「今後、さらなる統合や提携が進む可能性が高い」と話す。
電動化投資の拡大が収益を圧迫
EVシフトへの対応には巨額の投資が必要だ。デンソーは2025年度までの3年間で、電動化や自動運転分野に約1兆円を投じる計画。しかし、現在の収益状況では投資負担が重く、財務体質の強化が課題となっている。ある証券アナリストは「部品メーカー各社は、収益性の低い事業からの撤退や、選択と集中を進める必要がある」と指摘する。
中小部品メーカーへの影響懸念
大手の動きは、中小部品メーカーにも影響を及ぼしている。エンジン部品を主力とする中小企業では、受注減少に伴う廃業や事業譲渡が相次いでいる。業界団体の調査によると、2024年の自動車部品関連の倒産件数は前年比で約30%増加する見通し。政府も中小企業の事業転換を支援するための補助金制度を拡充する方針を示している。
今後の展望:脱炭素化と収益性の両立が鍵
自動車部品業界が生き残るためには、脱炭素化への対応と収益性の両立が不可欠だ。各社は、EV向けのモーターやインバーター、バッテリー関連部品などへのシフトを加速している。また、水素エンジンやe-fuelなど、内燃機関の新たな可能性を模索する動きもある。業界再編が進む中、どの企業が勝ち残るかは、今後の戦略次第と言える。



