アップルが箱からプラスチックを消すまでの10年、開封体験を変えなかった執念
アップルが箱からプラスチックを消すまでの10年

かつてApple製品の箱を開けるとき、多くの人が透明なフィルムを「ベリベリ」と剥がしていた。あの感触を覚えている人は少なくないだろう。だが、いま新品のiPhoneやMacを開けても、その作業はもう発生しない。

アップルは2025年末までに、すべての製品パッケージからプラスチックを完全に排除すると公言してきた。実際、直近のiPadの製品環境報告書には「インク、コーティング、接着剤以外はプラスチックを一切使っていない」と明記されている。この10年以上に及ぶ取り組みが、いよいよ完了に近づいている。

筆者は、その舞台裏を確かめるため、アップルが梱包を研究・開発する「パッケージングラボ」に、日本のメディアとして初めて足を踏み入れた。そこで見えたのは、「たかが箱」への異常なまでのこだわりだった。脱プラは環境対応であると同時に、素材調達・物流・ブランド体験を貫く経営テーマでもある。

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剥がすフィルムが消えた、実物で見た10年の差

ラボには歴代のパッケージが並び、実際に手に取ることができた。旧型のMagic MouseやEarPodsの箱を触ると、かつてこれほどプラスチックが使われていたのかと、あらためて驚かされる。同時に、これだけプラスチックを使わずに、以前と同じ開封体験と保護性能をどう実現しているのかという疑問が湧いた。

担当者によれば、アップルの開封体験は独自性が高いという。タブを剥がして蓋を持つと、内蓋がスッと降りて製品を手に取れる。この体験を模倣する企業は多いが、同じ水準に到達できている例は少ない、というのが筆者の率直な印象だ。今回の取材の主眼は、環境のためにいかにプラスチックの使用を減らすか、そのうえで開封体験をどう守るかにあった。

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