企業の人事部門は副業をどう見ているのか。経営コンサルタントの日沖健氏が実施したヒアリングから、副業が人事評価に与える影響や、企業が実際に抱く本音が浮き彫りになった。
副業と忠誠心に関する企業の見解
金融業界のある企業からは「昨年、副業申請が増加し、経営陣の一部は社員の忠誠心が低下することを心配していました。しかし、当社では副業している社員と、していない社員で忠誠心に差はありません。『そもそも忠誠心がそんなに大切なのか』というのが、私も含めてわが社の多数派意見です」との声が上がった。
やってほしくない副業とは
一方で、企業が「やってほしくない」と考える副業もある。素材業界の企業からは「単に収入を得ることだけを目的とした、時間を切り売りするアルバイトはやめてほしいです。コンビニの接客やウーバーなど配達業務などが一概に悪いとは言えませんが、スキルアップにつながりませんし、疲労などによる本業への悪影響が懸念されます」との意見が出た。
建設業界の企業からは「当社では雇用契約が生じる副業を一応認めていますが、トラブルがあった時など何かと面倒なので、人事部門としてはやめてほしいです」と本音が漏れた。
望ましい副業とマック人気
反対に、企業が「望ましい」と考える副業について、精密業界の企業は「本人の専門性を生かし、視野を広げることができる副業が望ましいと思います。たとえば、営業担当者がNPOで事業開発をするとか、人事担当者が学校法人の組織改革を手伝うとか」と説明。小売り業界の企業も「もちろん本人の自由ですが、どうせやるなら、社内では経験できないことをやってほしいと思います。しかも、リフレッシュできるとなお良い。たとえば、少年野球のコーチとか、観光ガイドとか」と語った。
今回のヒアリングで最も印象的だったのは、化学業界の人事担当者が「個人的にはマック(マクドナルド)でバイトしてみたいですね。私は人事部門の前は研究開発をしていて、科学技術という合理的な世界で小難しいことばかり考えていました。今の人事もバックオフィス業務です。マックのBtoCの接客現場なら、ヒューマンスキル系の気づきや充実感があるんじゃないかなと。学生時代に居酒屋でバイトをしたことがありますが、今だからこそ、もう一回やってみたいです」と語ったことだ。
筆者は当初「今さら副業でマック?」「それって時間の切り売りじゃないの?」と疑問を抱いたが、一般従業員の声を集めると、年代を問わずマックは大人気だった。重電業界の50代は「学生の頃は、時給の良さに惹かれて家庭教師ばかりやっていました。同級生がマックで同世代の女性店員とキャッキャッと楽しそうに働いているのを見て、すごく羨ましかったです。副業をやるつもりはありませんが、やるなら断然マックですね」と話す。
金融業界の30代も「会社生活はまあまあ充実していますが、同質性の高い集団に属していることに、『このままでよいのかなぁ』と思うことがあります。店員もお客さんも老若男女が集うマックは、わが社とは対極の世界。一回くらい経験してみたいと思います」と語った。
学生やフリーターの定番アルバイトとして知られるマックは、社会人の副業としても王道であることが、今回のヒアリングで改めて確認された。



