ワタミ会長渡邉美樹氏、鳥メロ新店舗で低価格戦略再挑戦の真意
ワタミ会長、鳥メロ新店舗で低価格戦略再挑戦

ワタミが展開する低価格居酒屋「鳥メロ」が、約6年ぶりとなる新店舗を東京都立川市に3月31日にオープンした。秘伝の焼き鳥や串揚げが1本80円から、生ビール中ジョッキが199円という驚きの価格設定で、かつては150店舗まで拡大したものの、その後閉店ラッシュに直面し99店舗にまで減少。なぜ今、再び低価格路線で新規出店に踏み切ったのか。ワタミ会長兼社長CEOの渡邉美樹氏にその真意を聞いた。

鳥メロの歴史と苦い経験

鳥メロは、2010年代に激安戦略で急成長し、ピーク時には150店舗を数えた。しかし、競争激化や人件費高騰により収益が悪化。特に、から揚げ専門店「から揚げの天才」は112店舗から6店舗にまで減少するなど、大きな誤算があった。渡邉氏は「人件費込みの価格競争に敗れた」と振り返る。当時は価格競争に巻き込まれ、採算が合わなくなり、100店舗以上の閉店を余儀なくされた。

再挑戦の背景:宴会需要の復活

2026年3月期のワタミの決算によると、国内外食事業は前年比109%の376億6000万円と増収増益。特に焼肉やbb.qオリーブチキンカフェが牽引したが、売上高の5割を占める居酒屋業態も健闘した。鳥メロの既存店売上高は2026年2月度まで47カ月連続で前年を上回っている。渡邉氏は「コロナ禍で減少した宴会需要が戻りつつある」と説明。宴会の受け皿として鳥メロの利用が伸びているという。

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低価格を支える仕組み

値上げラッシュの中でも安さを保つ秘密は、メニューの手作り化と店内仕込みへの切り替えだ。渡邉氏は「仕入れコストを抑えるだけでなく、品質向上にもつながっている」と語る。2026年6月3日のグランドメニュー刷新時も、生ビールなどの価格を据え置いた。また、サービス品質向上のため、従業員のトレーニングを強化。クレーム件数も、以前は300店舗で毎週20~30件あったものが、現在は1~2件に減少したという。

新たな出店戦略

新店舗の立川駅南口店は、利益の出る立地を厳選して出店した。渡邉氏は「出店ありきではなく、収益性を重視している」と強調。2010年代のような無理な拡大はせず、既存店の収益改善を優先する方針だ。また、新規出店を抑えることで、既存店舗の改装やサービス品質向上にリソースを集中できたメリットもあるという。

居酒屋事業の重要性

ワタミは宅食事業や農業など多角化を進めてきたが、祖業である居酒屋は依然として重要な収益源だ。グループ売上高932億円のうち、国内外食事業は約4割を占める。渡邉氏は「居酒屋はワタミの根幹。低価格戦略を再び成功させ、成長軌道に乗せたい」と意気込みを語った。

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