「遊べる本屋」として一世を風靡したヴィレッジヴァンガードが苦境に立たされている。最盛期には528店まで拡大した店舗数は、2025年5月期には293店まで減少。さらに、財務コンサルタントの村上茂久氏は「かつて店の魅力だった“宝探し”のような豊富な在庫が、いまでは資金繰りを圧迫する重荷になっている。決算を見ると、その苦境の本当の原因が見えてくる」という。(2回目/全4回)
銀行が握る“倒産の運命”
企業が倒産するかどうかは、経営者の判断や経営戦略の巧拙によって決まる。多くの人は、そう考えているかもしれない。もちろん、経営判断が重要であることは間違いない。しかし実際には、企業の命運を左右する決定が、経営者の意思とは別のところで下されることがある。その代表的な存在が、銀行である。
赤字が続いていても、長年にわたって事業を継続できている企業がある一方で、業績が急激に悪化したわけでもないのに、突然資金繰りに行き詰まる企業もある。この違いは、どこから生まれるのか。ヴィレッジヴァンガードは、独自の世界観を武器に長年成長してきた企業である。しかし近年は、業績の低迷とともに、財務面での不安も指摘されるようになっている。こうした局面で、企業の存続に大きな影響を与えるのが、銀行との関係である。
「遊べる本屋」の今
創業以来、「遊べる本屋」をコンセプトに、本、雑貨、DVD、アパレル等を販売してきたヴィレッジヴァンガード。通称「ヴィレヴァン」を運営するヴィレッジヴァンガードコーポレーションが苦境に立たされている。
2025年5月期において、売上高は前年比0.7%増の249億円だったものの、利益面では最終損益は42億円の赤字となり、2期連続の赤字となっている。不採算部門の整理も含めて、2026年5月期以降に全店舗の約3割にあたる81店舗の閉店を検討することになっている。
かつて、ヴィレッジヴァンガードは小売業界屈指の成功企業だった。10年以上連続で増収増益、最盛期の売上高は467億円を超え、店舗数も528店舗(うち直営517店舗、フランチャイズ11店舗)まで増やしている。雑然とした店内には本とともにユニークな雑貨が並び、大学生や若い社会人が“宝探し”感覚で買い物を楽しめる空間が広がっていた。2000年代〜2010年代にかけて、このサブカル文化を気軽に体感できる場が多くの若者に刺さっていた。
しかし、業績悪化に伴い、2022年5月末には50億円以上あったキャッシュは2025年5月期には23億円まで減っている。赤字が続き、キャッシュも減っている中、倒産のリスクも見え隠れする。業績不振が続くヴィレッジヴァンガードについて、財務の観点から徹底的に迫る。



