トヨタ自動車の近健太社長は18日、長野県茅野市の聖光寺で行われた交通安全祈願の後、報道各社の取材に応じ、国内生産の維持に対する強い決意を示した。近社長は「日本の生産、サプライチェーン(供給網)は非常に重要だ。いまのレベルをキープしていきたい」と述べ、トヨタが国内雇用と技術を守る目安として掲げる「年300万台」の生産規模を今後も維持する考えを明らかにした。
トランプ関税の影響は限定的、HV輸出が好調
トヨタの2025年度の国内生産は約324万台に達した。トランプ前政権が2025年に発動した関税措置により、米国向け輸出への影響が懸念されたが、ハイブリッド車(HV)を中心とした輸出が好調を維持。国内販売も前年並みを確保し、今年度の生産も堅調に推移している。近社長は「お客様に受け入れられる本当にいいクルマをつくっていく」と強調した。
中長期では現地生産強化、サプライチェーン維持が課題
一方で、トランプ関税や地政学リスクの高まりを受け、トヨタは中長期的に現地生産を強化する方針だ。これが国内生産にどのような影響を与えるかが焦点となる。近社長は自動車が約3万点の部品で構成されていることに触れ、「自動車会社が縮小し、一度サプライチェーンが無くなると戻ってこない」と警鐘を鳴らし、国内の部品メーカーを含む供給網の維持に強いこだわりを見せた。
効率化へ「現場の声聞きカイゼン」
近社長は今年4月、CFO(最高財務責任者)から社長に昇格したばかり。就任後初の本格的なインタビューで、今後の経営方針についても言及した。近年は半導体不足やレアアース(希土類)の価格高騰など、サプライチェーン上の課題が続いているが、近社長は「現場の声を聞き、カイゼンを徹底する」と述べ、効率化を推進する姿勢を示した。
国内生産の重要性と将来展望
トヨタは国内に多数のサプライヤーを抱え、雇用と技術の基盤を支えている。近社長の「いまのレベルをキープ」という発言は、海外生産シフトが進む中でも、国内の生産能力を維持し、高度なものづくりを継承する決意の表れと受け止められている。同社は今後もHVや電動車の需要を取り込みながら、国内生産の競争力を高める戦略を描く。



