博多の老舗チョコ店、3代目社長に佐野恵美子さん 規格外素材で新価値
博多の老舗チョコ店3代目社長、規格外素材で新価値

福岡市博多区で80年以上続く老舗洋菓子店「チョコレートショップ」に7月、3代目社長として佐野恵美子さん(43)が就任した。祖父と父から受け継いだ店を守りながら、規格外の素材を生かした商品開発やカカオ栽培への挑戦など、新たな価値の創出に取り組む。

創業から80年、3代目の決意

「チョコレートショップ」は1942年、佐野さんの祖父である佐野源作さん(1990年に死去)が創業した。ホテルのシェフだった源作さんが、ロシア人シェフからもらったトリュフチョコレートに感動し、旅客船のシェフとして欧州で修業を積んだ後に博多で店を開いた。戦時中、召集令状が届いた日を創業日にしたという逸話も残る。

佐野さんは子どもの頃、2代目の父・隆さんから「厨房は遊び場ではない」と言われ、手伝いをさせてもらえなかった。一般企業に就職して3年目、営業先で実家の話をしたところ、「チョコレートショップでデートをしたのが良い思い出」と言われたことが転機となった。

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「店が誰かの記憶に残る素敵な場所であることに初めて気づき、『店を守らなきゃ』という使命感が芽生えた」と振り返る。

フランスでの修業と金賞受賞

パティシエを志した佐野さんに対し、父は「職人をなめるな。本当にやりたいならフランスへ行け」と助言。25歳で渡仏し、職業訓練学校や菓子店、一流ホテルのシェフのもとで学んだ。フランス語を話せなかったため、ノートに調理器具の絵と名前を書いて覚えるところから始めたという。

2017年にはパリに自身の店「レ・トロワ・ショコラ・パリ」を出店。2023年にはパリのサロン・デュ・ショコラで、桜と梅を使ったガナッシュが金賞を受賞した。受賞作を食べた父が初めて「うまい」と言ったといい、「それまで100種類以上を食べてもらったが、褒められたのは初めてだった」と話す。

地域連携と環境への取り組み

今年は福岡農業高校の生徒と太宰府市の梅を使ったチョコを共同開発した。商品づくりだけでなく、生徒たちが活動への思いをお客さんに伝えるところまで一緒に行うことを大切にしているという。

また、廃棄されるカカオ豆の皮を再利用した包装紙を使ったり、県産の規格外フルーツを積極的に活用したりしている。「規格外の素材に新しい価値を持たせ、お菓子としてお客様に届けることは、環境のために私たちができること」と語る。さらに、干ばつや気候変動の影響でカカオの生産量が減り価格が高騰する中、大分県玖珠町のハウスでオーガニックのカカオ栽培に挑戦する予定だ。

佐野さんは「3代で100年続く店にすることが目標。博多で生まれ育ったチョコを、世界の方にも知ってもらいたい」と話し、伝統を守りながら博多から世界へ発信していく考えを示した。

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