居酒屋「塚田農場」で知られるAPHDグループの弁当ブランド「塚田農場おべんとラボ」が、ロケ弁市場で存在感を増している。2015年に参入した後発組ながら、チキン南蛮弁当(990円)は冷めても美味しいと評判で、1日1万食を手作りで提供する。その秘密は「味より見た目」という業界の常識に逆らった姿勢にある。
「弁当は味じゃない」に抱いた違和感
同ブランドの始まりは、APHD創業者・米山久さんがテレビで見たある番組だった。とある宅配弁当サイトの経営者が「弁当は味じゃなくて、見た目が大事」と発言。その言葉に米山さんは違和感を覚えた。サイト上では見た目の良さが注文数に直結する世界だが、食べ物なのに味より見た目が優先されることに引っかかりを感じたという。
さらに、お金の流れにも疑問があった。弁当が売れるまでに様々な会社や人が間に入り手数料が発生するため、本来価値を生み出す生産者や料理人の取り分が少なくなり、消費者が支払う価格は高くなる。その構造を健全とは思えなかった。
産地直送・中間コスト削減で品質追求
「それなら、自分たちでやろう」と米山さんは決断。産地から直接仕入れ、自分たちで作り、自分たちで売ることで中間コストを減らし、その分を食材や品質に回した。商品数を絞り「王道メニューを磨くこと」に集中。玉子焼きは工場で手作りし、冷めても美味しさが持続するよう工夫している。
ロケ弁市場にはオーベルジーヌや喜山飯店などの老舗がひしめく中、後発ながら同ブランドは着実に支持を集めている。代表取締役社長の森尾太一さんが語る、味にこだわった弁当作りの哲学とは。



