三井住友トラスト、スタートアップ向けセカンダリーファンド設立へ 運用額150億円
三井住友トラスト、スタートアップ向けセカンダリーファンド設立

三井住友トラストグループは、成熟期を迎えたスタートアップに投資するセカンダリー(二次流通)取引ファンドを2026年9月にも設立する。投資家が未上場株を売買するセカンダリー取引を通じて企業の成長を支援する。運用額は150億円規模で、大手金融機関が単独で運営する国内初のファンドとなる見通し。

グロース市場改革の影響でIPOハードル上昇

三井住友信託銀行の坂上雄彦常務(58)は、スタートアップを取り巻く環境の変化について、東京証券取引所のグロース市場改革の影響を強調する。同行が2026年6月に公表した調査では、回答した648社のうち32%が「大きく影響する」、33%が「ある程度影響する」と回答。3年以内のIPOを検討していた企業の半数が「IPOスケジュールを延期した」と答えた。

坂上常務は「東証の改革は上場後の維持基準を引き上げるものだが、上場を目指す時点での時価総額や成長性も厳しく見られるようになり、IPOのハードルが上がった」と指摘。その結果、VCの投資回収タイミングが遠のき、資金が一部企業に集中する二極化が起きているという。

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スタートアップの意識変化と出口戦略の多様化

調査の自由記述では、「短期的な利益改善が優先され、中長期的な投資が毀損されている」「追加出資や新規調達のハードルが上がり、成長スピードが抑制されている」といった声が寄せられた。一方で、「グローバルな事業拡張を前提とした成長モデルの構築を図る」との前向きな意見もあり、経営者の意識変化がうかがえる。

出口戦略については、IPOとM&Aの両方を想定する企業が56%に上った。前年は94%がIPOを希望していたことから、1年で大きく変化した。坂上常務は「シリアルアントレプレナーの登場により、スタートアップの意識が変わり始めている」と分析する。

セカンダリーファンドの役割と運用方針

坂上常務は、IPOまでの期間が長期化する中で、未上場時の資金調達の選択肢を広げる必要性を強調。「米国ではIPOだけでなくM&Aやファンドへの譲渡など出口が多様で、資金調達の層の厚さがユニコーンを育てる土壌となっている」と述べる。

新ファンドは、事業が安定するレイター期の企業を中心に、VCが保有する株式を買い取り、IPOまでの成長期間を提供する。また、事業資金の融資やIR支援、機関投資家との対話促進など、グループのツールを活用して資金循環を促進する。坂上常務は「有力なスタートアップと関係を築くことは大きな財産。長く付き合える企業を育てたい」と語った。

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