ソフトバンクとセブン&アイ提携、携帯とコンビニの連携加速の理由
ソフトバンクとセブン提携、携帯とコンビニ連携の理由

ソフトバンクとその傘下のPayPay、LINEヤフーは2026年7月31日、コンビニエンスストア大手のセブン&アイ・ホールディングスに出資することを発表しました。それ以前にも、2024年にKDDIがローソンの株式を取得して経営に参画するなど、携帯電話会社とコンビニエンスストアという異業種の連携が急速に進んでいます。

提携で「7ID」が「PayPay ID」に統合

携帯電話とコンビニエンスストア、2つの業界は一見関係がないように見えますが、最近その両者が近づく動きが増えています。実際、2026年7月31日にはソフトバンクとPayPay、LINEヤフーが、三井住友カードと、セブン-イレブン・ジャパンとその親会社であるセブン&アイ・ホールディングスとの資本業務提携を発表。ソフトバンクとPayPay、三井住友カードの3社が、セブン&アイ・ホールディングスに1000億円ずつ出資するとしています。

この提携では、セブン-イレブン・ジャパンが運営する「セブン-イレブン」の店舗・流通網と、ソフトバンクが持つAIなどの技術、PayPayやヤフー、三井住友カードの顧客基盤とキャッシュレス決済の知見を合わせて、顧客接点の拡大を図るとしています。短期的視野で見ると、提携の中心となるのはPayPayのようです。

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提携発表内容を確認しますと、セブン&アイ・ホールディングスの顧客基盤「7ID」を、PayPayの「PayPay ID」に統合するとのこと。また、セブン-イレブンで買い物をした際に貯まるストアポイントとして、PayPayポイントと、三井住友カード傘下企業が運営する「Vポイント」を導入するとされています。

セブン-イレブンでは今後、ソフトバンクの通信サービスなど、提携する各社の利用者に向けた割引やクーポンなどを提供するとのこと。顧客基盤の要となるIDをPayPayに統合し、PayPayのポイントプログラムも導入するというのですから、PayPay主導でかなり踏み込んだ連携をしようとしていることが分かります。

KDDIとローソン、楽天とファミリーマートの連携

携帯電話会社がコンビニエンスストアと連携するケースはソフトバンクが初ではありません。実際2024年には、KDDIがローソンの株式を50%取得して経営に参画するという、ソフトバンクよりも踏み込んだ連携を実施しています。

その後KDDIは、同社が持つさまざまなリソースを活用してローソンの強化を推し進めています。その代表例となるのが、有料プログラムの「Pontaパス」を活用したお得なクーポンやポイント還元などによる送客ですが、他にもKDDIの技術を活用した先進店舗「Real×Tech LAWSON」や、店舗にドローンや衛星通信などの新技術を導入し、災害時の地域拠点となる「災害支援ローソン」、ローソン店舗を町の拠点として地域活性化を図る「ハッピーローソンタウン」などを共同で展開しています。

もう1社、コンビニエンスストアとの連携に動いているのが、楽天モバイルを有する楽天グループです。同社は、ファミリーマートとの提携関係強化を進めており、2026年5月22日には「楽天市場」の「SPU」(スーパーポイントアッププログラム)にファミリーマートが参加することが発表されています。

SPUは、対象のサービス利用など条件を満たすことで、楽天市場で買い物した時の「楽天ポイント」付与率がアップする仕組み。2026年7月1日からはファミリーマートで「楽天ポイントカード」を提示して3,000円以上買い物をすると、楽天市場で買い物をした時に0.5倍の楽天ポイントが付与されるようになっています。

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これまでSPUの対象は、楽天モバイルや「楽天カード」「楽天トラベル」など、楽天グループの系列サービスに限られており、ファミリーマートは楽天グループ外の企業として初めてSPUに参画するとのこと。そうした点からも、楽天グループとファミリーマートの距離が急速に近づいている様子を見て取れるでしょう。

コンビニは送客、携帯各社は購買データが欲しい

なぜ、携帯電話会社とコンビニエンスストアという、まったくの異業種同士の企業提携が急速に進んでいるのでしょうか。その理由に挙げられるのは、コンビニエンスストアが国内で市場飽和傾向にあり、成長が鈍化していることでしょう。

そうした状況下で一層の成長を進めるには、大きな顧客基盤を持つ企業と連携して顧客を送客することが有効と判断しているのではないかと考えられます。実際、携帯4社はいずれも1000万を超える大きな顧客基盤を持っていることから、IDやポイント連携などで集客につなげたいというのが、コンビニエンスストア側の大きな狙いといえるでしょう。

もう1つ、携帯電話会社側の視点でいうと、提携の狙いはコンビニエンスストアの購買データにあります。全国津々浦々に多数の店舗を構えるコンビニエンスストアでは、毎日多くの人が買い物をしており、顧客がいつ、どこで、何を購入したかという購買データが多数蓄積されています。

一方、携帯電話会社の側も大きな顧客基盤を持ち、携帯電話や決済、Eコマースなど多くのサービスから得たデータ、そして基地局から得た行動データなど、非常に豊富な顧客データを保有しています。ですが、実店舗は基本的に携帯電話ショップしかなく、購買データには乏しいのが実情です。

そこで自社の顧客データと、国内小売大手でもあるコンビニエンスストアの購買データを直接連携できれば、不足しているピースを埋めて顧客の行動をより正確に把握できるようになります。PayPayが7IDを統合したり、楽天グループがファミリーマートでの購買時に楽天ポイントカードの提示を求めたりしているのは、自社顧客のより正確な購買データを取得したいがゆえなのです。

そのうえで、携帯電話会社は取得したデータを、AIを活用して分析。それを自社サービスのビジネスに生かすのはもちろんのこと、外部の企業に提供してマーケティングソリューションビジネスの拡大にもつなげようとしているのではないかと考えられます。

このように、一見するとまったく接点がないように見える2つの業界ですが、送客とデータという2つの要素で利害関係が一致しているからこそ、急速に連携が進んだといえるでしょう。そうしたことを考えれば、今後も携帯電話会社と意外な業種の企業連携が進む可能性は大いにありそうです。