清水建設取締役山口充穂氏インタビュー インフレ時代の建設コスト高騰における価格転嫁と上場初の赤字からの改革の全貌
清水建設取締役山口充穂氏が語る価格転嫁と赤字からの改革

清水建設の山口充穂取締役が、インフレ時代の建設コスト高騰に直面する中、上場初の営業赤字から黒字転換を果たした改革の全容を明かした。2024年3月期に246億円の営業赤字を計上した同社は、スライド条項の全面的導入や社長主導の厳格な採算審査により、2026年3月期には1186億円の黒字を達成した。

上場初の営業赤字の背景

山口取締役は、2021年初頭から過去に例を見ない建設コストの上昇が始まったと説明する。直近5年で資材価格は3割から4割上昇し、設備系に限ればさらに高騰。上昇分の価格を転嫁できないうちに、コロナ禍で資材の入荷も滞った。同社は同業他社よりも超大型工事を多く手がけており、打撃が特に大きかったという。

スライド条項の全面導入で黒字転換

「物価や賃金の水準に変動があれば、請負代金の変更を請求できる『スライド条項』などの導入を広げ、今はほぼ全ての工事で適用されています。あらゆるものが値上がりする中で理解が広がり、スライド条項の運用を規定した改正建設業法が後押ししたと感じます。数年前まで導入は限定的で、条項があっても協議してもらえないケースもありました」と山口取締役は語る。この結果、26年3月期決算は1186億円の黒字となった。

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厳格な採算審査と発注者との協調

「資材価格が変わらないか、下がっていく時代には、入り口の採算が厳しくても、工期中の改善でなんとかしていました。今は建設コストが上がり続ける前提を持たないと、赤字になります。リスクを抱えないため、受注前に採算性をチェックする審査も、社長主導で厳しくしてきました」と説明。また、発注者側もオフィス賃料や住宅分譲価格を引き上げられるケースがあるとし、「事業性が合う形を模索しながら、発注者とプロジェクトを進めています」と述べた。

ヒューマノイドロボットの実証実験

高さ385メートルの超高層ビル「トーチタワー」の建設現場では、ヒューマノイドロボットによる現場巡回の実証実験が行われた。手にカメラを持ったヒューマノイドが秒速1.0メートルで自律的に歩行し、現場を撮影してまわった。これは清水建設が進める最新技術の活用事例の一つである。

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