サンリオの女性管理職比率は、2021年度の32.9%から2025年度には44.4%へと大きく拡大した。同社では時短勤務をしながらリーダーやマネジャーを務める社員が増加しており、現在は管理職の5%を時短勤務者が占める。
「第二の創業」と位置付けた組織風土改革
サンリオの女性管理職の増加は、それ単体で推進されたわけではなく、経営体制の刷新に伴う改革の成果の一つだ。同社は2020年、それまで60年にわたり社長を務めた創業者の辻信太郎氏の引退に伴い、当時31歳の辻朋邦氏が2代目の社長に就任した。そして2022年からの中期経営計画で「第二の創業」を宣言。7期連続で減収減益となった2021年3月期からV字回復を遂げ、2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)は調整後営業利益が784億円と、過去最高を記録した。この改革の土台として位置付けられたのが、人事制度の見直しなどを含む「組織風土改革」である。
サンリオはもともと女性社員が7割近くを占め、能力も意欲も高い女性が多い。しかし、管理職となると男女比が逆転していた。その状況が改善に向かい始めたのは、女性を優先的に昇進させるといった優遇策ではなく、人事マネジメント全体を見直した結果だと、三桝氏は語る。
人事制度の見直しとキャリア支援
「『第二の創業』と旗揚げして始めた組織風土改革の一環として、評価制度の透明性向上、成果や責任に報いる報酬制度の整備といった人事制度の見直し、管理職任用プロセスの見直し、育児や介護などのライフイベントがあってもキャリアを継続できる環境づくりなどを進めてきました」
「加えて、女性がもっと管理職に挑戦してみようと思えるような仕掛けもしています。例えば『私もこういう管理職を目指せるといいな』と思えるような女性の役員や部長によるパネルディスカッションの開催。性別や年齢にかかわらずキャリア開発の支援になるような研修の提供。ワークとライフの両立について悩んでいる社員に個別のキャリアコーチングを受けてもらう、といったことです。女性管理職比率の向上はそれらの結果と考えています」(三桝氏)
時短勤務の拡大と「時短で管理職」が5%
サンリオの女性活躍推進は、単発の施策ではない。一貫した方針の下で「環境整備」「風土醸成」「上層からの働きかけと育成」「企業理念への共感」という4つの要素がかみ合い、機能しているのが特徴だ。
ライフイベントがあってもキャリアを継続できる環境づくりの代表例が、2025年に新設された「SRHR(性と生殖に関する健康と権利)休暇」と、時短勤務対象の拡大だ。これらは全社アンケートに基づいた社員の声をもとに導入した。
SRHR休暇導入以前も、生理休暇を導入していた。しかし、形骸化して使われていなかった状況を鑑み、不妊治療など性と生殖に関する不調や治療について男女を問わず利用できるものに変更。また、無給の休暇とすることで理由の申請を不要とし、利用のハードルを下げた。それが功を奏し、初年度は数十名、2年目の今年はさらに利用者が増えている。
また、時短勤務は従来の「小学3年生修了まで」を「小学6年生修了まで」に延長。その結果、子どもが4年生になる時短勤務者は全員が時短勤務を継続し、小学5、6年生の子を持つ社員で時短勤務を再開するケースもあったという。まさに望まれていた制度のバージョンアップであったことが分かる。
特筆すべきは、サンリオでは時短勤務をしながらリーダーやマネジャーを務める社員が増加しており、現在は管理職の5%を時短勤務者が占める点だ。働く時間が短くても成果で評価する制度運用と、管理職の権限を一部補完する「アシスタントマネジャー」職の新設など、サポート体制を整えることで「時短でも管理職ができる」という認識が広がり、挑戦しやすい状況が生まれている。



