東京商工リサーチは7月22日、2026年の「決済代行業」動向調査結果を発表した。調査は、同社の企業データベースから扱い品名・営業種目に「決済代行業」「資金移動業者」を含む企業を対象に、2025年1月~12月期を最新期とする6期連続で業績が判明した31社を抽出・分析した。
全東信破産で注目集まる
7月6日に大阪地裁から破産開始決定を受けた全東信の倒産で、決済代行業が一躍注目を集めている。決済代行業は、クレジットカード会社などの決済事業者と飲食店の間に入り決済を代行し、手数料を徴収するビジネスモデル。店側は早期に現金回収できるメリットがあるが、決済代行業者は早期立替払い分をクレジットカード会社から支払いがあるまで繋ぎ資金が生じるため、借入金が過大となりやすい。
市場拡大を背景に主要決済代行業の業績は好調だが、全東信の破産を受け、経済産業省は関係省庁と連携して決済代行業者の実態調査を検討していることを明らかにした。これまで登録などが不要で法的規制が曖昧な業界だったが、今後大きく変わる可能性が出てきた。
売上高・利益ともに過去6年で最高
非接触決済への移行やQRコード決済の拡充、日常的なEC利用などが追い風となり、決済代行業31社の最新期の売上合計は5805億円(前期比21.7%増)、利益合計は546億円(同30.7%増)だった。過去6年間で売上高は約2.5倍、利益は約4.6倍に拡大し、マーケットも急成長をたどっている。
売上高100億円以上が全体の約9割
売上高の規模別では、10億円以上50億円未満が14件(構成比45.1%)で最多。次いで100億円以上が9社(同29.0%)、50億円以上100億円未満が5社(同16.1%)と続く。一方、売上高100億円以上の9社の売上合計は5111億円に上り、全体の約9割(同88.0%)を占める。市場全体の売上は拡大するが、大半は上位企業に集中し、スケールメリットを生かした構造が顕著となった。
前年比の増減収は、最新期は増収23社(構成比74.1%)、減収8社(同25.8%)。増収企業は前年から減少したが、トップラインの拡大は続き、市場拡大を背景に未だ7割以上が増収を維持している。一方、減収の8社のうち6社は売上高50億円未満の中小企業で、競争環境の厳しさは下位ほど強まっている。
黒字企業9割超も4割以上が減益
損益状況は、黒字企業が29社(構成比93.5%)と全体の9割超を占めた。黒字企業は1期前に続き29社(同93.5%)で、全体の9割を超える高い黒字割合を維持している。
一方、全体の4割以上の13社(同41.9%)は減益だった。大手企業による加盟店の囲い込みが激化し、これに対抗するため中小企業は手数料の引き下げ競争を強いられ、利益率が低下。収益の二極化が顕著となった。
増収増益が半数以上、中小は利益悪化
市場拡大の恩恵を受け、増収増益が16社(構成比51.6%)と半数以上を占めた。一方、固定費の負担や手数料引き下げ競争などで利益が圧迫され、増収減益が7社(同22.5%)、減収減益が6社(同19.3%)だった。活況な市場の裏で、利益悪化を強いられる中小規模の実態が浮き彫りとなった。



