株価上昇の背景と利益減少のジレンマ
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの株価が、回復の兆しを見せている。2026年7月1日から14日にかけて株価は上昇を続け、同社が提供する1デーパスポート(大人)の価格上限を2026年10月に1万2400円へと1500円引き上げると報じられたことが好感された。1デーパスポートの値上げは2023年10月以来、3年ぶりとなる。
しかし、この株高を「値上げによる復活」と受け取るのは早計だ。ほんの数カ月前、オリエンタルランドの株価は決算をきっかけに急落したばかりである。長い低迷を抜け出せるかについては、見通しがちなもう一つの成長要素にもスポットライトを当てる必要がある。
売上高は過去最高も、利益は減少傾向
直近の決算を見てみよう。2026年3月期は売上高7045億円(前期比3.7%増)と過去最高を更新した一方、営業利益は1684億円(同2.1%減)、純利益は1219億円(同1.8%減)と減益だった。人件費やメンテナンス費用の増加が利益を圧迫した。
テーマパークの入園者数は2753万人と前年比ほぼ横ばいだった。それでも売り上げが伸びたのは、ゲスト1人当たりの売上高が1万8403円と過去最高を更新したからである。つまり、オリエンタルランドの成長は、ここ数年「人数」ではなく「単価」、すなわち値上げによって支えられてきたと整理できる。
2027年3月期は2年連続の減益見通し
そして、同社が示した2027年3月期の予想は、売上高7243億円(同2.8%増)に対し、営業利益1608億円(同4.5%減)となった。これは2年連続の減益見通しとなる。弱気な通期予想が警戒され、決算発表後の4月半ばには株価が1割超も急落した。今回のチケット値上げ報道による株高は、その急落からの戻りという側面も大きい。
値上げモデルの限界と今後の成長エンジン
値上げしても利益が伸び悩む――ここに、オリエンタルランドが抱える構造問題が透けて見える。入園者数の伸びに頭打ち感があるなか、値上げで客単価を引き上げ売り上げを伸ばす。しかし人件費やメンテナンス費といったコストがそれを上回るペースで膨らみ、利益はむしろ削られる。
値上げは短期的には株価が上がる要因になるが、価格を上げ過ぎればいずれ客離れを招く。また、舞浜エリアにおける物理的な開発余地にも限界が見え始めていた。そうした背景もあってか、2025年には高級常駐社長が年間パスポートの再開や変動価格制の見直しに含みを持たせたものの、その後にトーンダウン。経営方針の揺らぎを露呈する場面もあった。
では、オリエンタルランドの次の成長をけん引する存在は何か。その答えは「パークの外」にある。
パーク外の戦略が鍵に
同社の成長エンジンとして、パーク外での事業拡大が期待されている。具体的には、ホテル事業や商業施設、さらには地域開発などが候補となる。しかし、これらの投資には多額の資金と時間が必要であり、短期的な利益貢献は見込みにくい。値上げに依存しない持続可能な成長モデルを構築できるかが、今後の株価を左右するだろう。



