金箔を支える日本唯一の和紙が消滅危機、後継者ゼロで年商30年で3分の1に
金箔支える和紙が消滅危機、後継者ゼロ

金箔製造に欠かせない「箔合紙」を生産する日本唯一の和紙工房が、後継者不在により消滅の危機に瀕している。岡山県津山市の「横野和紙」6代目、上田久徳さん(仮名)は「私の代で最後かもしれない」と語る。年商は30年前の約3分の1に減少し、注文が半年待ちの状態でも後を継ぐ者は現れていない。

金箔を支える唯一無二の和紙

横野和紙が作る「箔合紙」は、金箔を打ち延ばす際に挟む薄くて丈夫な和紙で、国内で製造するのはこの工房だけ。金箔職人からは「これなしでは金箔が作れない」と重宝されている。しかし、原料の調達や道具作りの職人も高齢化が進み、サプライチェーン全体が脆弱になっている。

上田さんは「道具を作る人も、原料を作る人も、みんなが支え合ってつながっている。そのどれか一つでも欠けたら、和紙は作れなくなります」と危機感を募らせる。

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後継ぎ不在、7代目で途絶える可能性

上田さんには2人の子どもがいるが、いずれも別の職業についており、後を継ぐ意思はないという。「今のところは、後を継ぐ気持ちはないんじゃないかな。自分の人生なので、好きにしてほしいと思っています」と上田さんは語る。外部から継ぎたいとの声もあるが、個人での育成は難しいと断っている。

「日本国内には、うちより大きい規模で和紙を作っている工房がまだあります。大きい工房のほうが育成の仕組みがあるから、そういうところで修行したほうがいいと考えています」

このままでは7代目で津山地区の和紙づくりの伝統が途絶えてしまうかもしれない。

伝統を残す模索

上田さんの父は亡くなる半年前の81歳まで和紙を漉き続けた。上田さんも「元気なうちは作り続けたい。そして、伝統を残せる形を考えたい。今は、どんな形がいいのかまったく検討もつかないけど、考えないといけない時期がきましたね」と語る。

毎年、地元の小学生が体験学習で工房を訪れ、紙漉きを体験する。自分で漉いた和紙が卒業証書になり、校長先生が児童一人ひとりの名前を筆で書いて手渡す。子ども達の未来に、いくつの伝統工芸品が残っているのだろうか。

横野川のほとりでは、今日も「ちゃっぽん、ちゃっぽん」と上田さんが紙を漉く音が聞こえている。

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