日本製鉄は2026年8月6日、名古屋製鉄所(愛知県東海市)で新設した熱延ラインの竣工式を執り行った。投資額は約3000億円で、生産能力は年約600万トン。2026年8月17日から商業運転を開始する予定だ。
世界最大級の圧延機を備えた新ライン
新熱延ラインは、同社の技術開発部門の研究成果を集大成し、世界最大の耐荷重の圧延機を備え、圧延制御性と温度制御性を大幅に向上させた。単一設備としては過去最大規模の投資で、熱延ラインの新設は40年ぶりとなる。
竣工式には、日本製鉄の今井正社長兼COO、名古屋製鉄所の平光範之所長らに加え、東海市の花田勝重市長らが出席した。
「世界最強の製鉄所」の志を継承
今井社長は「本日の竣工は、関係する皆様の高い使命感、技術力、そして現場力の結晶であります」と述べた。また、名古屋製鉄所の前身である東海製鐵の創業時に掲げられた「いかなる環境にあろうとも、決して負けない世界最強の製鉄所を作る」という言葉を紹介し、新ラインは「その志を現代に受け継ぐ新たな挑戦の始まり」と位置付けた。
さらに「世界的にも比類のない、まさに次世代の熱延ラインを完成させることができた」と自信を示し、「このラインを大いに活用し、強度や加工性をさらに高めた新製品の開発を進める」と述べた。
EV時代の高機能素材需要に対応
自動車業界では環境規制強化や衝突安全基準の厳格化に加え、カーボンニュートラルへのニーズが高まっており、車体の軽量化・高強度化に資する高機能素材の需要増が見込まれる。特に電気自動車など電動車では、走行距離やバッテリー重量の課題から、軽量化・高強度化への要求が一層強まると考えられている。
新ラインはこうしたニーズに応えるため、超ハイテン鋼板などの高級薄板の生産体制を強化する。素材製造から走行時までのライフサイクル全体での温室効果ガス排出削減にも貢献するという。
現行ラインは2026年度中に休止
1963年から稼働してきた現行の熱延ラインは、品質確保のため一定期間新ラインと並行して使用され、2026年度中に休止される予定だ。
平光所長は「4年に上るプロジェクトの中で、名古屋の待望の期待の新熱延ラインを立ち上げることができた」と喜び、「現行の熱延ラインでは設備の制約で実現できなかった高品質な鋼材の製造が可能になる」と語った。



