矢崎愛さん(27)が7月31日、延岡市の島浦島にバル喫茶「灯船」をオープンする。曽祖父から続く巻き網漁の会社「有限会社事平丸」を事業承継し、業種を変えて新たな店舗を経営する。夫の裕敏さん(27)とともに、かつて祖父母が住んでいた築65年の鉄筋コンクリート2階建て住宅を約3か月かけてリフォームした。
昼はコーヒーや軽食を提供する喫茶店として営業し、魚の切り身や水産加工品、カップ麺などの生活雑貨も販売する。夜は漁が休みになる明るい月夜など不定期で酒を提供し、島民や観光客が集える場とする。矢崎さんは中学卒業後に島を離れ、飲食業や観光業で経験を積み、「観光業で島を盛り上げたい」と開店を決意した。
伝統の会社を引き継ぐ
開業にあたり、矢崎さんは新会社を設立せず、曽祖父が創業した事平丸を承継する道を選んだ。「伝統ある会社を残したい」との思いから。同社は巻き網漁でイワシやアジなどを漁獲していたが、島の少子高齢化と人員不足により、父親の森本徳喜さん(67)が経営していた2023年9月に漁業を終了。森本さんは「会社が残るのはうれしかった」と語る。
店名に込めた願い
店名「灯船」は、巻き網漁の船団を誘導し、集魚灯で魚を集める船に由来。矢崎さんは「集魚灯に魚が集まるように、あかりの下に人が集まる店にしたい」と話す。今秋には近くに貸し切り宿もオープン予定。
島の女性たちの挑戦
島浦島では、伝統ある会社や漁業を引き継ぎ、島を活性化しようと女性たちが奮闘している。西口美穂子さん(46)は来月、祖父から続く巻き網漁の会社「西良水産有限会社」を事業承継する予定。赤ウニやマガキの本格養殖を目指し、「祖父、父、兄の思いを途絶えさせたくない」と意気込む。



