奈良県平群町で進むメガソーラー建設現場で、土砂流出事故が繰り返し発生している。2024年11月、2025年5月、2026年4月と3回の事故に続き、2026年7月現在も工事は続いており、新たな流出のリスクが指摘されている。奈良県は2026年6月、事業者に対する訴訟で上告を断念したが、工事停止には至っていない。
住民の署名運動と県の判断
平群のメガソーラーを考える会の代表世話人、須藤啓二さんによると、県に対して「上告しないで」と訴える署名活動を行ったところ、1週間以内に3万2532人の署名が奈良県内をはじめ全国から集まり、県に提出した。これを受け、奈良県は上告を断念する方針を固めた。
弁護団の室谷悠子弁護士は「危ない、危険だ、安全対策を、と住民が言い続けてきたことを、やっとわかってもらえた。県と住民が一緒に今後何ができるか検討するステージに、ようやく来た。ホッとした」と述べた。
繰り返す土砂流出と事業者の説明
2026年4月10日に発生した3回目の土砂流出について、事業者は5月14日と30日に住民説明会を開いた。事業者は「建設現場から流れ出た濁水は、盛り土からではなく、建設作業用の仮設足場として岩の上にかぶせていた土砂が流れ出たもの」と説明した。しかし、京都大学名誉教授の奥西一夫氏(災害地形学)は「単に表面の土が崩れただけではなく、ドコッと崩壊跡地を作るような形が見えた」と指摘する。
4月10日に撮影された写真では、斜面に穴が開いているように見える。奥西氏は「土の層の底の部分が地下水流で浸食されて空洞化し、その上が落ち込むような形で崩壊した」と推察している。
専門家が指摘する対策の問題点
事業者は「土砂が流れた法面は、土砂を除去したうえで、モルタル吹付を行う」などと説明している。これに対し、奥西氏は「水を通さない表面処理は余計に雨水の地中浸透を妨げるので、ますます水の流出を助長する」と述べ、事業者の対策ではかえって危険が増すと警告する。
平群のメガソーラーを考える会は「工事停止と安全対策」を求めており、原告弁護団と土砂災害専門家による緊急の訴えが行われた。県と住民の協議が今後の焦点となる。



