三菱商事が東南アジア諸国連合(ASEAN)の中小企業への投資を強化する。傘下の投資ファンドで200億円規模の運用資金を調達するめどが立った。小売りや食品流通、外食など成長が見込める未上場企業への投資を進め、三菱商事が持つ事業運営のノウハウや顧客基盤を活用し、地域企業の育成につなげる。
第3号ファンドに七十七銀行が出資
三菱商事のASEAN地域で投資ファンドを運営する完全子会社「AIGFアドバイザーズ」が組成する第3号の案件に8月、七十七銀行(仙台市)が新たに出資し、目標とする200億円を調達できる見通しとなった。これまでに三井住友信託銀行や山陰合同銀行(松江市)、東邦銀行(福島市)なども出資しており、AIGFにとって最大規模のファンドとなる。
ASEAN市場の成長と資金調達の課題
ASEANは人口増加や所得向上を背景に消費市場が拡大しており、企業に成長資金を供給するファンドの重要性が増している。しかし、日本や欧米に比べて金融インフラは発展途上で資金の出し手は多くないのが現状だ。
三菱商事はAIGFを通じて2015年からASEANの中小企業に投資している。例えば、タイで「ケンタッキー・フライド・チキン」を運営する事業会社など7社への投資や経営支援を実施してきた。
投資実績と地銀へのメリット
各地で小売りや物流のノウハウや、各国の拠点や取引先を通じた販路開拓を通じ、企業価値の向上を図っており、1号ファンドは投資家が出したお金がどれだけ増えたかを示す「投資倍率」が2.7倍となった実績がある。
出資する地銀など国内機関投資家にとっては、単独では難しいASEANの未上場企業に資金を振り向け、域内の成長を運用収益として取り込む機会となる。AIGFの海野充洋社長は「日本の資本とASEANの成長機会を結びつけるとともに、企業の成長を支えることでASEANの資本市場の発展にも貢献したい」としている。



