メルカリは8月5日、2026年6月期通期決算説明会を開催し、売上高2292億円(前年比19%増)、コア営業利益441億円(同60%増)と、期初予想を上回り過去最高を更新した。取締役会長兼CEOの山田進太郎氏は、進めてきた「AI-Native Company」への変革の成果を示した。
AI活用で生産性が劇的に向上
2025年6月期の説明会で「AIをすべての基盤として組織とプロダクトを根本的に変革する」と宣言してから1年。全従業員のAIツール利用率100%を達成したほか、非エンジニアを含む独自のAIエージェント構築や、AIタスクフォースによる全業務プロセスの見直しなど、全社を挙げた構造改革が進んでいる。
プロダクト面では、フリマサービス「メルカリ」での商品検索やレコメンドの精度向上、出品情報の作成をAIがサポートする「AI出品サポート」の導入などが後押しし、事業面でも3年ぶりとなる売上収益の2桁成長回帰と過去最高益の更新につながった。
記者会見で語られたAIとの向き合い方
記者からの質問では、経営トップ自らのAIとの向き合い方や、組織全体の変革スピードに関する質問が上がり、山田CEOと、取締役兼執行役SVP of Corporate兼CFOの柄沢智広氏がAI導入の実効性と手応えを語る一幕もあった。
山田CEOは「私自身、昔コードを書いていたこともあり、現在は業務だけでなく、プライベートで勝手にアプリを作るなどしてAIを使っています。日進月歩でできることが増えており、非常にエキサイティングです」と述べた。
組織のAIネイティブ化の強みは、単に開発スピードが上がるだけでなく、これまでできなかった高精度な検索精度や多言語対応など「質」の向上に直結する点にあるという。柄沢CFOは「開発速度の向上だけでなく、これまで試せなかった新しい機能や施策に挑戦できるという質の変革がある。また、私が管掌するコーポレート領域を含め、全社的にAIを活用することで、会社全体の生産性構造そのものが劇的に変わりつつあります」と語った。
今後のAIネイティブ化と組織運営
今後のAIネイティブ化に向けた組織改革や働き方の進化について、山田CEOは「AIによって事業や開発のスピードが加速する中、従来の組織構造のままではスピードを生かし切れません。そのため、日本事業のCTO(最高技術責任者)を務めていた柄沢氏が、CHRO(最高人事責任者)兼CAIO(最高AI責任者)を兼務する体制に再編しました。人事とAIを一体で推進しています」と説明した。
少数でプロダクトの仕様決定からリリースまで一気通貫で行う「AI Pods」の標準化や、独自AIモデルの開発を進め、攻めと守りの両面でAIを基盤とした組織運営を目指していくという。
2027年6月期の連結業績予想
メルカリは2027年6月期の連結業績予想として、売上高2600億~2900億円、コア営業利益450億円以上を見込む。中期方針最終年度に向けて、独自のショッピングエージェント開発やAI基盤の高度化を推進する構えだ。AI活用による生産性向上とプロダクト変革を成長戦略の柱に据え、中期方針の達成を図る。



