東京商工リサーチは8月21日、2025年度決算に基づく「上場企業平均給与」調査の結果を公表した。調査は2025年4月期から2026年3月期までの全証券取引所上場企業を対象に、8月14日までに確認した有価証券報告書から平均年間給与と従業員数を抽出。平均年間給与は各社の給与総額を総従業員数で除した加重平均で算出した。
平均年収は778万7744円、5年連続で前年度上回る
上場企業3123社(事業会社のみ)の2025年度平均年収は、2021年度から5年連続で前年度を上回り、778万7744円(前年度比4.0%増)となった。前年度から30万216円増加した。
国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査による正規社員の平均給与544万9000円と比較すると、上場企業は233万8744円上回り、差は5年連続で拡大した。
4社に3社が増加、東証プライムは初の800万円台
3123社のうち、平均年収が前年度より増加したのは2401社(前年度2296社)で、全体の約8割(76.8%)を占めた。減少は659社(構成比21.0%、前年度682社)、横ばいは63社(同2.0%、同90社)。「増加」企業の構成比は2年連続で前年度を上回った。
市場別では、東証プライムが815万6000円(前年度783万4000円)で最高となり、調査開始以来初めて800万円を突破した。次いで名証プレミアが745万4000円(同721万9000円)、名証メインが662万8000円(同633万6000円)の順。最低は札証の新興企業向け市場アンビシャスで449万4000円(同442万6000円)。東証プライムとの差は366万2000円(同340万8000円)で、格差は3年連続で拡大した。
上昇率の最高は名証メインの前年度比4.6%増(29万2000円増)で、2022年の市場開始以来3年連続で上昇した。
産業別では建設業が4年ぶりトップ、不動産業の伸び率が最高
産業別の最高は建設業の953万5000円(前年度894万4000円)で、2021年度以来4年ぶりにトップに返り咲いた。前年度トップの卸売業は947万1000円(同908万6000円)で2位だった。
一方、最低は小売業の550万8000円(同535万2000円)、次いでサービス業の589万3000円(同573万7000円)で、いずれも600万円を下回ったが、5年連続で上昇した。建設業と小売業の差は402万7000円で、前年度の卸売業(908万6000円)と小売業(535万2000円)の差(373万4000円)より29万3000円拡大し、1.7倍の格差が生じた。
平均年収の伸び率トップは不動産業の9.9%増(788万8000円→867万円)で78万2000円増加した。都市部の地価やマンション価格の高騰に加え、物価高や世界水準への報酬引き上げなどが追い風になったとみられる。33業種分類中、唯一減少したのは保険業で、0.1%減(643万5000円→642万5000円)だった。2026年6月に施行された改正保険業法への対応や変化する事業環境への対応が影響したようだ。
平均給与1000万円以上は139社、上位7社が2000万円超え
平均給与のトップは不動産開発などのヒューリックで、2295万4000円(前年度2035万7000円)。2年連続で2000万円台を維持した。2位はM&Aキャピタルパートナーズの2265万8000円(同2277万6000円)、3位はキーエンスの2178万3000円(同2039万1000円)、4位は前年度1位のインテグラルの2135万6000円(同2577万7000円)、5位は三菱商事の2112万5000円(同2033万3000円)で、上位7社が2000万円を超えた。
平均年収の増加率トップは、不動産開発のグローバル・リンク・マネジメントで前年度比48.3%増(890万8000円→1321万8000円)。報酬制度の構築や新卒初任給の月額35万円への引き上げ、人材への投資強化などで大幅に増えた。
平均年収1000万円以上は139社(前年度107社)で、前年度より32社増加。900万円以上1000万円未満は148社(同103社)、800万円以上900万円未満は276社(同271社)、700万円以上800万円未満は565社(同533社)でそれぞれ増加した。一方、700万円未満のレンジは減少し、上場企業の平均年収の底上げが鮮明になった。
なお、本集計の対象外だが、持株会社634社の最高は光通信の3517万5000円で、1000万円以上は前年度より11社増えて104社(前年度93社)となった。



