くら寿司「メモリアル店なんば千日前」万博の記憶を再現、世界70カ国料理で盛況
くら寿司メモリアル店、万博再現で世界70カ国料理提供

回転寿司大手のくら寿司が大阪・関西万博に出店した「万博店」を再現した「メモリアル店 なんば千日前」(大阪市中央区)が連日盛況だ。世界70カ国の料理や万博の雰囲気を味わおうと、来店客の熱気で満ちている。

万博店の名物メニューが復活

同社最長の約130メートルの回転レーンを流れるのは寿司ではなく、各国の伝統料理や家庭料理を再現した「世界の料理」だ。ココナツと餅を合わせたパラオの「アホ」、キューバの牛肉煮込み「ロパビエハ」、ひよこ豆のコロッケ「ファラフェル」(オマーン)など、万博店で好評を得たメニューが並ぶ。

万博店では当初、シャリの上に161か国・地域の料理をのせた創作寿司として計483種類を提供する計画だった。しかし2024年6月、社長の田中邦彦が「メニューが多すぎてどれを食べたか分からなくなる。インパクトもない」と計画を白紙に戻した。開発担当の中村重男(35)は「ショックでその夜は記憶がなくなるまで深酒をした。注目されている万博なので切り替えて頑張るしかなかった」と振り返る。

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大使館と協力し完成度追求

独自性が許される創作寿司とは違い、一皿で現地の料理を再現するには高い完成度が必要だ。中村と取締役の岡本浩之(64)は試作品を持って大使館を回った。コロンビアのポテトフライ「パパクリオージャ」では、乱切りにした国産ジャガイモを素揚げし、トマトベースの「オガオソース」をかけたが、大使館からやり直しを命じられた。現地の家庭で常備されるソースの作り方を料理人から直々に教わり、材料も一口サイズのコロンビア産ジャガイモに変更した。

リトアニアのビーツの冷製スープ「シャルティバルシチャイ」では、調達が難しかった材料の代わりに寿司酢を活用し、「さっぱりしておいしい」と大使館のお墨付きを得た。岡本は「販売にこぎつけた安心感と、大変な労力をかけたメニューが受け入れられるかというドキドキ感が入り交じっていた」と話す。

万博店は30万人以上が来店、メモリアル店が継承

万博店は連日行列が絶えず、会期中に延べ30万人以上が詰めかけた。メモリアル店は5月にオープン。世界の料理70種類に加え、通常メニュー約200種類も提供するため、厨房内の作業量は多い。オープン前の研修では、万博店で働いていたスタッフがオペレーションや盛りつけを指導した。

回転レーンは万博店の135メートルから128メートルに短縮されたが、同社の「抗菌寿司カバー」のオブジェも移設。廃棄材を活用した机やレジカウンター、天井の模様まで万博店を再現している。来店客からは「万博を思い出せる」「万博では入れなかったから来た」などの声が寄せられ、ミャクミャクのカチューシャを付けて記念写真を撮る人もいる。

回転寿司のレガシーを次世代へ

中村は「万博を追体験できるうえに、プチ世界旅行ができる『食のテーマパーク』でもある」と胸を張る。回転寿司が国内に広まったのは1970年の大阪万博がきっかけとされる。広報の岡本愛理(30)は「今回の万博では回転寿司の文化や魅力を世界中に広げていきたいという思いを込めた。そのレガシーとしてこの店を残していきたい」と語った。

くら寿司は1977年に田中邦彦社長が堺市内で持ち帰り寿司店を開業し、1984年に回転寿司業界に参入。2025年末には最大の回転寿司チェーンとしてギネス世界記録に認定された。2026年6月時点で国内に555店舗、米国に91店舗、台湾に63店舗を展開。2027年にはタイ・バンコクに初進出する計画だ。売上高は2451億円、従業員数は2854人(いずれも2025年10月時点)。本社は堺市。

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