熊本地震、企業が防災井戸や道路地図で被災地支援
熊本地震、企業が防災井戸や道路地図で被災地支援

熊本県で最大震度7を観測した地震を受け、企業が多様な支援活動を展開している。10年前の熊本地震を受けて整備した防災井戸の開放や、通行できる道路地図データの提供など、各社が保有する経営資源や知見を活用して被災者の生活再建を後押ししている。

防災井戸が初めて活用

震度7を記録した熊本県宇城市にある肥後銀行松橋支店の敷地内で7月31日、ポリタンクを手にした地域住民らが、行員とともに井戸から水をくみ上げていた。一帯では地震の直後から断水が続いており、近くの実家の片付けに来ていた男性(71)は「水が一番大事。本当に助かる」と安堵の表情を浮かべた。

肥後銀が2016年の熊本地震後に設置した「防災井戸」で、豊富な地下水を利用している。前回の地震では断水で水が不足したことから、災害に備えて支店の敷地内など県内10か所に整備した。民間による防災井戸の設置は全国初だったといい、実際に活用されたのは今回が初めてだ。飲料用には使えないが、トイレや洗い物などの生活用水として利用できる。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

県によると、発生から1週間以上が経過した今月7日時点でも、宇城市や八代市など約3万7000戸で断水している。肥後銀の笠原慶久頭取は「10年前の教訓を生かすことができた」と話す。

食事や入浴の支援

牛丼チェーン「すき家」などを運営するゼンショーホールディングス(HD)は、3日から宇城市と氷川町の避難所にキッチンカーを派遣し、6日までに約2500食の牛丼を提供した。フィットネスジム「エニタイムフィットネス」の運営会社は、断水している地域の被災者を対象に、県内13店舗でシャワーやトイレを無料開放している。住所を証明できれば会員以外でも利用できる。

長引く避難生活に配慮した支援を行うのは、大阪市に本社を置くビジネスホテルチェーンのスーパーホテルだ。熊本県内6店舗を含む九州の全16店で今月24日から来年1月3日まで、65歳以上の熊本県在住者を対象に1人最大7泊分まで宿泊料を無料とする。広報担当者は「避難所や車中泊で体調を崩すリスクが高い高齢者に休息を取ってほしい」と話す。

安全な移動を支援

主力事業のノウハウを活用したサービスを提供する動きも出ている。家電量販店大手のエディオンは今月2日から、家電製品の無料点検サービスなどを行う専用車を「イオン八代店」(八代市)に派遣している。地震で故障した家電の点検などの相談を同店の駐車場で受け付けており、テレビやレンジなどの持ち込みがあるという。

ホンダと地図大手のゼンリンは、地震後も自動車で通行可能と推定される道路の地図データを、インターネットで公開している。ゼンリン子会社の地図データと、ホンダが車の通信機能を使って収集している走行データを組み合わせて作成した。24年の能登半島地震でも同様のデータが利用された。物流などでの活用が見込まれており、ホンダは「円滑で安全な移動に役立ててもらいたい」(広報)としている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ