JR東日本は、中央線快速電車(東京~高尾間)にグリーン車(有料座席指定車両)を導入する方針を固めた。2025年度に着工し、2030年度頃の運行開始を目指す。同社が7月10日に発表した。中央線快速は首都圏有数の混雑路線であり、有料座席サービスによる混雑緩和と収益向上が狙いだ。
導入の背景と具体的な計画
中央線快速の混雑率は、朝ラッシュ時で約180%(2022年度)に達し、東京都心部では特に深刻だ。JR東日本は、グリーン車を2両連結し、1両あたり約100席を設置する計画。既存のE233系電車の一部を改造し、グリーン車対応とする。総事業費は約500億円を見込む。
同社の担当者は「中央線は沿線人口も多く、ビジネス需要が高い。グリーン車導入で、着席需要に応えつつ、一般車両の混雑緩和にもつなげたい」と述べている。導入区間は東京~高尾間の約53キロで、所要時間は約1時間。料金は既存のグリーン車と同水準(50キロまで750円など)を想定している。
工事スケジュールと影響
2025年度から、車両基地の改良やホームの延伸工事などに着手。中央線快速の駅では、グリーン車対応のためにホームの長さを20メートル延長する必要がある。また、車両の改造工事も並行して進める。運行開始は2030年度頃を見込むが、工事の進捗によって前後する可能性もある。
グリーン車導入に伴い、中央線快速のダイヤは一部変更される見通し。ただし、現行の本数は維持される方向で調整中だ。また、グリーン車は平日の全列車に連結される予定で、土休日は一部列車のみとなる可能性がある。
沿線自治体や利用者の反応
沿線の自治体からは歓迎の声が上がっている。東京都八王子市の担当者は「通勤・通学の負担軽減が期待できる。観光客の利便性向上にもつながる」とコメント。一方、利用者からは「料金が気になるが、確実に座れるのはありがたい」といった声が聞かれる。
JR東日本は、中央線快速のグリーン車導入で、年間約50億円の増収を見込む。同社は既に東海道線、横須賀線、総武線快速などでグリーン車を運行しており、中央線快速は首都圏の主要路線で最後の導入となる。
今後の課題
課題としては、車両の確保と工事費の捻出がある。JR東日本は、既存のグリーン車用車両を中央線快速に転用する可能性も検討している。また、工事中の仮設ホームや運行への影響を最小限に抑える必要がある。
中央線快速のグリーン車導入は、首都圏の鉄道ネットワークの質的向上につながると期待される。JR東日本は今後、詳細な設計や工事計画を詰め、利用者への周知を進める方針だ。



